るぅるぅ墜落紀行☆作為編【墜落】
5/26
ぐるんぐるんとクッションの上でのたうつ。
渚はジッと何かをいじっている。
ぽてりとお腹を上に向けて顔だけで周囲を見回す。
さっきまで陸にちゃんと確認するようにと怒られてたのだ。
お釣りチェックはちゃんと確認したのだ。
よしよしと汐がおなかを撫でてくれる。
チビのところにあったおやつをくらげやヒトデで交換したのも怒られたのだ。
チビだからいいのだ!
とは言えなくて、大人しく怒られとく。
くらげはぷるぷるで、ヒトデは産卵期に入ってたから美味しいのだ!
ウミウシもつけたのだー。って言ったらもっと怒られたのだ。
なーぜーなーのーだぁーーー
「渚。明日は美味しい魚をとってくるから楽しみにしてるのだー♪」
夜も深まったころ、
渚は自分の部屋でやっぱり何かをいじっている。
「渚。すこーしだけ、散歩しないか?」
するりと抱きしめて窓を開ける。
やってることを中断させたから機嫌が悪いのか返事はない。
ふわり抱き上げて顔を覗き込む。
黒の瞳にうつりこむは赤の色。
風が巻き起こる。
正しくは風を巻き起こす。
「寒くないか?」
眼下に広がるは夜のうろなの町。
光は町に海にときらめいている。
「……きれい」
「夜の町は上から見るのが美しい。聞えてたかもしれないから知ってるのかもしれないが、俺達の間で身につける装飾品はソレも手製の物はな、求愛行動なんだよ?」
見惚れるさまにそっと囁けば、さっと頬に赤をのせ、顔を逸らす渚。
それでも、身じろげば落ちることをわかっているのだろうから動けなくて、逸らしつつ、瞳を潤ますさまは、愛おしい。
「もちろん、渚にその思いがあるとは考えていない。種が異なる。この世界では種の違いは大きいのだろ? 種も違い、在るべき界も異なる。それでも惹かれるから、この僅かな時でも共にありたい。思い返せるように」
視線を感じる。
今度は俺があわせない。
習性による刷り込みに近いのかもしれない。
それでも、そばにいて愛おしいと感じた。
嬉しいには変わりなく、意識しない理由はなく、否、意識してはならないからこそなおに意識する。
「俺は帰る。この姿になることは想定の外で、この世界は俺の世界ではない分、ズレが生じる。力配分の調整も変わってしまう」
まぁ、財源の問題もあったりだけど、ね。
「……言い訳っぽい」
拗ねたような口調。ゆらりと渚の足が不満げに揺れる。
「嘘はないぞ? 嘘をつく必要性がないからな?」
覗き込めば今度はじっと見返される。
「装飾品を贈ったなら、渚は受け入れてくれるか? もちろん、深い意味など込まない物だ」
嘘だけど。
『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』
http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/
青空姉妹お借りいたしました。
墜落先は渚ちゃん>w<




