5/25 るぅるぅ墜落紀行☆作為編【デート】
うろな町企画一周年
5/25を晴れにするためにうろなお天気神さまに
『デート日にしたいから晴れをよろしく』と祈願☆
甘めデートの投下は義務ですよね☆
数日前。
「渚をデートに誘うのだ」
まぁと笑う冴に宣言。
るぅるぅの現在地は冴のお膝の上だ。
「種も違えば生きてる時間も、元来の世界すら違うのだ。思いが通じたとしても連れていくべきではないのだ。だからと言ってるぅるぅがこちらの世界で添い遂げるには無理があるコトもるぅるぅわかってるのだ」
「でも、思い出は欲しいのだ。デートに向けての下準備のお手伝いを冴にして欲しいのだ!」
他の誰かを泣かせても〜デートを成功させるのだぁー。
「お手伝い?」
「服装は空の恋人が着てるような服が流行りなのかぁ?」
デートといっても二人きりで散歩して、その時間を思い出にしたいのだ。
好意を伝えるのもいいだろう。
そして、
「デートに誘って少し二人で歩けるなら、少しの時間でいいから『ヒト』の姿で一緒に歩きたいのだ」
切実なのだ。
「だから、その時にかっこいいって、渚に思ってほしいのだ。そのためには着てるものも大事になってくるのだ。でも、るぅるぅ、よくわからないのだ~~。だから冴に教えてほしいのだ。冴が大丈夫と思う格好ならきっと大丈夫なのだ!」
冴は少し考えてからPCを立ち上げた。
「わからない事は聞く、貴方の姿勢は偉いわ。ただ私もちょっと疎い相談事ですわ。……でもわかりましたわ、少しお待ちなさい」
疎いとは言ったが待てという冴はやっぱり頼もしい。
モニターに溢れるデータの渦。ソレでもそれは渚が操る物に比べれば制限された薄い色。
「わからなきゃ調べる。それが全ての基本よ」
冴は本当にかっこいい。
そして二人でいろんな絵を見て選んだスタイル。るぅるぅが出すと黒にしかならないと告げれば、少し考え込んで二人で改善方法を悩んだり。楽しい時間。
合間に年下のチビを噛んでこの世界との親和性を上げたり、対属性の素養を取り込んだり細工は組んだのだ。
それは脳裏に焼きついている。
無論、ここで断られればお蔵入り。
「渚、ご用事終わったのか~?」
「ん」
町長さんのためのサプライズを情報追跡している渚の様子におおまか終わったと判断し、声をかけてみた。
「渚ー。夕暮れの中るぅるぅと二人っきりでデートするのだぁ」
断られたら?
その時は、……恥を忍んで渚とお風呂にでも入ろうかなぁ?
「いいよ」をもらって嬉しくなる。夕焼けは赤く町を染めていてうっとりできる光景。
「では。渚。ゆっくりと帰ろう」
地面に足をつけ、渚の手をとる。
冴と一緒に選んだ装い。
背面の形状の具合はかっぱの服で軽く確認。まぁ人の後姿はそれなりに見てるから再現に問題はないだろう。
少し驚かせたらしく、黒い瞳が大きく見開かれていた。
「るぅるぅ?」
確認するように呼ばれるのがこそばゆい。
「この外見の時なら別の呼び名のほうが相応しいのだろうけれど、るぅるぅだよ」
人のかたちで見下ろす渚は驚かせれたことも踏まえて、かわいらしい。
「こちらで、このかたちをとれるのはほんの限られた時間だけだから。渚のことが好きだから。一緒に並んで歩いてみたかったんだ」
無自覚だろうか、差し出した手に乗せられた小さな手を握りながら笑う。
夕焼けが赤い。
何かを言いかけてる渚に首を傾げる。いつもと違うのはイヤなのだろうか?
「渚? どうした?」
ふいっと顔をそらされる。
「……なんでもない。ぁ、ことば」
ああ、しゃべり方が違うから気になるのか。あのしゃべり方は印象が強いのかもしれないからな。
「この外見であのしゃべりはみっともないと思うのだが?」
性別の差こそあれど、アミや陸と変わらない年頃のカタチを示してみる。
納得してくれたころにゆっくりと歩き出す。
交わす会話はささやかな事かもしれない。
それでもこの限られた時間が愛おしい。
手作りの装飾品は求愛行動。心動かされたら返したくもなる。
たとえば『心臓の一部』を削って守り石。
たとえば瞳を片方取り出して詠み石に。
世界が異なってもその心の端を知れるようなものを贈りたくなる。
心臓の一部は自らの一部。遠い場所の心も届けてくれるだろう。
瞳ならば石の写す君をいつでも見れるだろう。
それはきっと君の重荷になるだろう。
だからこそ、今、君の手を握って歩くこの時を本当は切り取ってしまいたい。
「ウチの世界にも、一部とはいえ、生体認証システムとか、えーっと、自動整備システム? とかはあるぞ?」
「魔法?」
「いや、生体エネルギー」
「……もっと詳しく」
◇◆◇
ホテル傍、遅くなった渚を迎えに出てる姉二人。
知らない青年と手をつなぎ、抱き寄せられてるくらいの近さで歩く渚。
きっと、不審者認定されたのだろう。ここの姉妹は姉妹想いだから。
離れろ、痴漢かといわれ。それでも離れるような
「必要性は感じない。痴漢?」
軽く渚を抱き寄せ、五メートルくらいの空中で停止する。ジャケットの形が崩れ、翻る漆黒の皮翼はマントのよう。
「渚、痴漢って?」
わからない単語を渚に尋ねる。
わからないことは知ろうと調べるのがいいと冴も言っていた。そして渚は物知りだ。
感じるものがあり、渚に笑いかける。
五メートル程度といえど人は落ちれば怪我をする。渚を傷つけるつもりはない。
空中に上がったときに巻き起こった風に惑っていたアミを見下ろす。
「アミ、手を広げて」
疑問符の浮かぶ海の上に渚が降りれるように下降する。途中で意図を察したようなアミが位置を修正する。
渚に囁く言葉は「制限時間」
慌て気味に渚を受け止めたアミの顔にダイブ。なのだ!
「アミー。るぅるぅおなか空いたのだー。今日の晩ごはんはなんなのだーー♪」
「あれ? えぇ?」
受け止めた渚と突っ込んできたるぅるぅを見て首を傾げ。
「陸姉。さっきのヤツは?」
「え? ……あら? いないわ……」
海に問われ辺りを見回しつつ首を傾げる陸。
そんな中、海の手から解放された渚がその頭にるぅるぅを乗せ。
「……問題ない。あの人は大丈夫だから。それより、ご飯」
呟いて、そこから歩き出し。
それを暫し見つめ。苦笑混じりにため息してから、その後を追う陸と海なのだった。
「渚、痴漢ってなんなのだ?」
「あとで」
『うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話』
http://book1.adouzi.eu.org/n2532br/
より魚沼冴さん。鉄太さん(存在のみ
『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』
http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/
青空姉妹をお借りしております☆
桜月りま様、小藍さま
協力大感謝でした^^




