5/25 デート当日5
正宗君を迎えに来た真帆ちゃんに引き渡してふらりと夕暮れぎみの道を歩く。
「まぁ、うまく、いったよな?」
「そうだね」
微笑む空を見る。手を差し出せばふわりと柔らかい手。
「俺もさ、この町にこれてよかったと思ってる」
「鎮君」
「日焼けとか大丈夫? 浜の風もあったし、羽織っとく?」
見上げてくる空から手を離して荷物の仲からカーディガンを引っ張り出す。
「寒くね? もう、暑くはないよな?」
空がくすくす笑う。
「大丈夫だよ。心配?」
見上げられて首を傾げられて。
ドキドキせずにいられるはずがない。よな?
「んー。大事だから心配」
そっと背中から抱きしめる。
そんな中どこからか、聞き覚えのあるような声が響く。
「つか悲鳴?」
対岸をなにか見慣れないものに乗って爆走する見覚えのある二人。
少し夕日を見上げる。
ちょっと背中を冷たい物が流れたかのような錯覚を感じる。
「あ。眩しっ。でも綺麗だよな。いつもは夕日を背に帰るから夕日に向かうのはちょっと新鮮だよなー?」
見なかった。聞かなかった。
夕焼けでよく見えなかった。きっと気のせい。
少しスピード落としたほうがいいよな。
「し、鎮くん、いまの……」
「今? なんかあった? 夕日を反射してる川って綺麗だよね」
強制的にスルーしてみる。
「も少し、ゆっくりでいいよな? 空」
しかたないなぁと言うような空の微笑が夕日とあいまっていつも以上に魅力的だった。
少し進んだ頃にたつ水柱。
「うーん。町長さん、今日波乱万丈?」
空が水しぶきの残滓が作り上げる虹に見惚れてる。
「町長さんの幸運に便乗した感じかな?」
ゆっくりと河川敷を歩く。
日が落ちてあたりは暗い。
スマホに届いた連絡に方向を定めて歩く。
「鎮くん?」
そろそろ帰らないのかと思ったらしい空が尋ねてくるけど「こっち」と歩みを進める。
町役場のそば辺りから複数の人の声が聞こえる。
目的の集まりがそこに出来上がっていることを確信する。
清水センセも天狗仮面もそこにいるようだった。
『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』
http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/
より青空姉妹
『うろな町』発展記録』
http://book1.adouzi.eu.org/n6456bq/
町長さんを(話題のみ
『Vivid Urona』
http://book1.adouzi.eu.org/n6663bq/
正宗君真帆ちゃん(名前のみ
『"うろな町の教育を考える会" 業務日誌』
http://book1.adouzi.eu.org/n6479bq/
より清水先生
『うろな天狗の仮面の秘密』
http://book1.adouzi.eu.org/n9558bq/
より天狗仮面様
お借りいたしました。
うろな町一周年おめでとうございます。
そして、この企画を、優しい町をありがとうございます。




