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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2014春
503/823

5/25 デート当日4

 

 村瀬の愛子ちゃんの家、虚壺色で買った抹茶餡のたい焼きを齧っていると梨沙さんのとこでのバイトがかなり板についた正宗君がいた。

 どのぐらい板についたかというと、今も十匹のわんこを引き連れて午後の散歩に出かけるところだ。

 大型犬コースらしい。

「やっほー」

 気軽く声をかけると、犬たちが新参のトロに警戒興奮する。

 騒ぎに出てきた宇美ねーちゃんが冷たい視線を浴びせてくる。

 手を叩いて犬たちを落ち着かせる姿は流石プロだ。

 うう。みっともねぇ。

「たぬきちゃんが驚いたらしくていなくなっちゃたの」

 空がおろおろと言ってくる。

「大丈夫よ。あの子は手袋に連れられてるし、慣れてるから」

 そう空には優しく言って俺をキッと見てくる。

 うう。

 気まずい。

「デート中に営業妨害とはいい度胸ね」

「ごめん」

 さっと髪を払うと宇美ねーちゃんは笑う。たぶん、空に心配させないためかな?

「謝ってすめば事件は起こらないの」



 事件!?



「帰り道はエビネが覚えてるから、浜までコースを正宗君を案内してくれる?」

 エビネと呼ばれた犬はゴールデンレトリバー。

 愛想よく吠えて了承を伝えてるようだ。

「俺、大丈夫ですけど」

 正宗君が犬たちの絡まったリードを解き終え、主張する。

「今日は真帆ちゃんも様子見に来れてないしね」

「聞いてもらえない!?」

 ぽんと、正宗君の肩を叩く。

「女性の決定には逆らえないもんだって」

 釈然としていなさそうな正宗君を慰める。

「ごめんね。空ちゃん。ちょっとコース遠めに行ってもらう時はやっぱりちょっと不安だから」

「宇美さん!?」

「信じてないわけじゃないのよ?」

「信じてないじゃないですか!!」

「だって、迷ってもきっと誰かが連れて帰ってきてくれると思うし、散歩量は問題ないと思ってるわ」

 うわぁ。

 迷うことを信じてるよ宇美ねーちゃん。

 スマホで時間を確認する。

「約束の時間もあるし、じゃあそろそろ戻りルートに入るかぁ」


 そっと正宗君が聞いてくる。

「デート中じゃないのか?」

「んー。そうだよ?」

 気にしない気にしないと宥めながら三人と十一匹の犬とで歩く。

 宇美ねーちゃんに言われて納得してたし、一緒にいるのはかわんねーし。

 まだ、時間はあるし。ここ重要。

「そ言えばさ、この町に着てひびのんももうじき一年だっけ?」

「そのくらいになるかなぁ」

「ふーん。なれた?」

「十匹の散歩を任されるくらいには?」

「いい町、だろ?」

「ああ。いい町だな」





『Vivid Urona』

http://book1.adouzi.eu.org/n6663bq/

より日比野正宗くん。真帆ちゃん(お名前のみ


『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』

http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/

より引き続いて空ちゃんお借りしております

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