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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2014春
499/823

5/24 デート前日

 じっと天気予報を確認し、現在の空を見上げる。

 雨が降っている。

「鎮」

 千秋の声に顔をあげれば、ポイっと投げつけられるなにか。

 って、制汗冷却系のシートだ。

「そっちは急速冷却タイプ。慣れてないと痛いかもね。でっそっちのは保湿剤入りタイプ。で、虫除けスプレー。一回使えば結構持つから」

 ぉお。


「サンキュー」

 呆れたようなため息。

「イイけどさ。荷物増やしすぎんなよ?」

「おう」

 でもなんで?

「ぁ? ああ。バイトの関係でドラッグストア寄ったからついで。んー。いらないと思うけど今後も考えてこっちも財布に入れとく?」

 ポイっと渡されたものに硬直する。

 千秋が不思議そうに首を傾げる。

「使わないんなら使わなきゃいいんだしさ。お守りおまもり」

 ちらっと千秋を見る。

 にんまり笑われる。

「じゃあ、バイト行くから」

 ……バイト先でいるのか? コレ。

「ちょ、鎮。考え込みすぎ! どこでどんな機会があってもイイだろ?」

 堪えきれないとばかりに笑いながら、「じゃあ」と出て行く。


 天気予報を信じれば明日は晴れ。


 空とほぼ一日一緒にいられる。

 それがすごく嬉しい。



 叔母さんに「そろそろ、大まかでも進路決めようね」と言われたのは気が重い。


 千秋も隆維も自分が進もうと思える道に向けて動きはじめてる感じなのに。


 今年は空と一緒にいる。

 いつもなら、いろんな場所に移動して海の家をやってるから、夏だけは会えてたけど。

 これからは?

 来年の今頃は同じ時間を過ごせてる?


「しーちゃん。飛鳥んとこいくんだけど、オヤツどれもらっていいの?」

「んー。別にどれでもイイけど、クッキーにしとく?」

 ジャケットを羽織りながらみどりちゃんの問いかけに答える。

「んー。そうするー。出かけんの?」

「うん。そういっちゃんとこにカレーをつくりに」

 好き嫌いは、良くないよなー。

「カレー」

「晩ご飯カレーにする?」

 こくりと頷くみどりちゃん。

 そーだよなー。ふつーにカレーは日本の国民食だよなー。お手軽だしー。

 出かけ間際に隆維に下拵えを頼んで出かける。

 買い物はスーパーまで行きますか。

 ついでに、ドリンク見て、摘めるオヤツも見よう!


 明日は空と過ごす一日。


 面倒なコトは考えたくねーや。







 そういっちゃんがしてくれた助言、(なのか?)「空さんを養える稼ぎのある職を考えてみるか、いっそ主夫?」どういう基準で言われたのかがよくわからない。

 ただ、進路は余計わからなくなった。


 もーやめやめ!

 明日のデートに集中するんだ。


 うん。

 

 楽しみだな。


「鎮ー」

「ん?」

「服決めたの?」

 千秋の言葉。

「あ……」

 沈黙が支配する瞬間。


「あ。じゃねーよ! あ。じゃ!」

 千秋に怒られた。

『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』

http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/

空ちゃんをお名前だけお借りしております。


そしてほぼ日常的に借りております。

好きな相手をポロリと思うのはよくあること、ですよね!?

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