るぅるぅ墜落紀行☆作為編【GW】
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トボトボと周囲を見ながら歩く。
るぅるぅがかけて問題ない長さに調整されたカバン。
缶ジュースをカバンに入れるんならと本が湿らないように入れてくれたハンカチ。るぅるぅが使いやすいサイズの筆記具と綺麗なマークの入った紙の束。
紙の一番上には陸が「迷子になったら、これね」と何か数字と名前となんかを書きつけてくれたのだ。
るぅるぅ、迷子にはならないけどな。
でも、カバンと中に入れてた一式全部が迷子なのだ!
ただでさえ渚にもらったの一回壊しちゃってるのに今度は全部無くすとは、るぅるぅ、どうしたらいいのだぁ。
年下から搾取するのは問題だし、換金処は……もらった財布をなくしてしまって顔を出すのが恥ずかしいのだ。
キョンシーのお店に食べに行くか?
いや、現金はあるべきなのだぁ~。
「るぅるぅ。お腹空いたのだ」
るぅるぅいろんな意味でぐるぐる~~。
ぽてっとあお向けに転がる。
嗅ぎ覚えのあるいい匂いにぱちりと目を開ければるぅるぅを見下ろす、河童がいた。
じっと手の中の物を見上げつつおなかを下に向ける。
「るぅ」
ぐるるぅとおなかが鳴く。
「ぬぅ」
おりてくるコロッケ。
るぅるぅはもらったコロッケを握ってカッパの足にぱふっと縋って膝の上によじ登る。
「ぬぅ」
だめかと見上げると無言が返ってきたのでその意外と鍛えられた腹にもたれてコロッケを呑みこむ。
「ありがとうなのだ」
ぽてりともたれていると人肌のぬくもりに妙な切なさがあがってくる。
「るぅるぅのお財布が迷子なのだ。せっかく作ってもらったのに」
気分はおいしい物を食べたのに憂鬱。というか、ぽかぽかの日差しが眠気を誘うのだ。
「なくしたと言ったら悲しませてしまうかと思うと不安なのだぁ。ごめんなさいしても悲しい思いはさせてしまうのだ」
ふぁぁふとあくびがこぼれる。
るぅるぅは基本夜行性なので日差しを浴びてると眠くなるのだ。
「起きたら謝りに帰るのだぁ」
……目を覚ましたるぅるぅは椅子の上に丸まっていたのだ。
冷や汗が出る。
るぅるぅ、けっこう動揺してたか?
ポンッとはねて河童の頭にぷにんと着地する。
「るぅるぅ寝てしまったのだ」
言いながら軽くふにふに動く。よし納まりのいいポイント発見!
財布を迷子にした状況を説明したのだ。
北海塩バターラーメンかぶったからカバンをベンチにおいて体を洗ってベンチに戻ったらいなくなっていたのだ。と。
いくら入っていたのかを聞かれてるぅるぅの答えは「わからないのだ。陸は『自動販売機に使う分には困らないでしょう』って言ったのだ」
入ってたものをるぅるぅから聞き出した河童は少し考えて、思い当たることがあるのか、ひとつ頷く。
首を傾げるるぅるぅをひょいっと下ろし、
「起きたら謝りに帰ると言っていただろう?」
るぅるぅは頷く。
「まずは帰って謝ってくるといい。心配されてるのではないか?」
「るぅ。かも知れないのだ」
尻尾が所在無くゆれる。
「よし! 謝りに帰るのだ! るぅるぅまた遊びに来るのだ♪」
窓はしっかりロックされていて飛んで帰ろうと思ったるぅるぅはガラスと仲良しになったのだ。
ぎょろっとしたなんとも言えない眼差しで見られて気まずい。
「るぅるぅは帰るのだ~~。窓を開けてほしいのだ~~」
るぅるぅは一生懸命ごまかした!
『うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話』
http://book1.adouzi.eu.org/n2532br/
より魚沼氏を
『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』
http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/
青空姉妹をお借りしております♪




