るぅるぅ墜落紀行☆作為編【GW】
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未知の生物から別れふらふらと低空飛行。
東に、つまり町中に向かう方向へと足早に進む少年の姿を見つけた。あの少年に乗れば、少し楽ではないだろうか? とか画策する。しかし、驚かれてしまう可能性もある。
あえて自ら声をかけるにはなぜか躊躇われる。
「るぅるぅは恥ずかしがりやさんなのだ!」
少年が一瞬こっちを向いた気もしたが、きっとるぅるぅは隠れられたと思うのだ!
そしてるぅるぅはその少年を尾行するように町の中心部に身を隠しつつたどり着いたのだ。
少年!
おかげで確実に町に戻ってこれたのだ!
ありがとう!
時々振り返られてた気もするがきっと見つかってないのだ!
振り返ると少女が静かにるぅるぅの様子を眺めていた。
感情の波は薄く思える。
瞬間、るぅるぅは身を捩る。
み、見られてたのだ!!
直接でなく遠巻きにお礼の念を送る姿を冷静にっ!!
恥ずかしいのだぁああ!
「大丈夫ですか?」
淡々と感情の薄い声。この世界における未知の生物にも動じることなく少年めいた少女は静かに声をかけてきた。
出会いに衝撃があったわけでもなく、閉塞空間での観察時間が合ったわけでもないのにナチュラルに受け入れられる。もちろん落ちてたわけでも本人が異形なわけでもない。と、考えて、この町あんまり驚くような人間に会ってないことに思い至る。
つまりるぅるぅみたいなのがいても平気ってこと?
なぁんだ普通に声をかければよかったのだぁ。
「大丈夫なのだ! るぅるぅはるぅるぅなのだ。よい朝なのだ!」
「それは何よりです。それで彼を追跡していた正当な理由はなんでしょうか?」
るぅるぅは淡々とした追求に泣きそうになったのだ。
「見つかるのはよくないアルよ~」
「そうなのか~」
とりのから揚げを呑みつつ話を聞く。
少女の追及から開放されたるぅるぅは『中華料理店クトゥルフ』に入り込んでいるのだ。
目前の料理人は清志というキョンシーというアンデッド系である。
提供されたとりのから揚げはそのまま呑んでも塩をかけても、レモンをかけてもイケル絶品だった。
種族で職業判断はよくないとるぅるぅは理解したのだ! アミの料理も絶品だったが清志の料理もイイ。……あとでカッパに会えたらコロッケねだれるかなぁ……。美味しかったのだぁ。
「じゃあるぅるぅが古本屋さんを訪ねるのは問題がある~?」
「人目の少ない時間帯に移動したほうがいいアルねー」
「そうなのか~」
「そうアルよー」
「るぅるぅ、この国の貨幣を持ってないのだ~。でも、『貴金属買取』で換金できると思うのだ」
ススっと清志料理人に一枚の銀貨を差し出す。
かつて友人からもらった異界の効果である。
「コレは、普通の百円玉アルね。昭和五十年アルかー」
もう一枚、今度は違う硬貨を差し出す。
「こっちは見たことないアルね!」
「食事代に足るか~?」
見上げるるぅるぅに少し悩んでから「わかったアル」と言ってくれたのだ。
ついでに店の隅っこで夕方まで一眠りさせてもらったのだ。
閉店前には古本屋さんを覗きに行くのだ~。
『冬過ぎて、春来るらし』
http://book1.adouzi.eu.org/n7507bq/
より葦原瑞穂君烏丸ルナさん
『人間どもに不幸を!』
http://book1.adouzi.eu.org/n7950bq/
より『中華料理店クトゥルフ』と清志店長
『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』
http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/
より青空海さん
『うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話』
http://book1.adouzi.eu.org/n2532br/
より魚沼氏
をお借りいたしました。
ご迷惑をかけております~




