5/5 うろ中園芸部☆
園芸部はほぼ帰宅部と同意っぽい部だ。
まぁ地味だしね。
作業としては花壇の水やりとちょっとした植え替え、季節に合わせた剪定や植え替えとかがちょこっと。
あとは夏野菜の栽培。
去年の二学期明けからしばらくして一学年上の鹿島先輩が覗きに来るようになった。
病弱で長く入院してたらしい。
体力作りをしようにも運動部に入るには体力が足りない、と言うか、まぁ体力作りのために体調崩すわけにはイカねぇよな。
やるのは朝早めに来て水やり。
ギリギリまで雑草を抜いたり、害虫除去したり、眺めたりするのが日常だ。
まぁ規則正しい生活の助けと日の光と軽い運動。(雑草抜きとか水やり)
もちろん、植え替えとか体力の使うことは基本させちゃいけないのはわかってるけどな。
合田先輩に睨まれんのはごめんだしな。
鹿島先輩の所属は文芸部。
まぁ、晴れた日に水やり手伝いに来てくれるのは助かるしなぁ。
そう、今日、五月五日。
やたら賑やかだった。
清水先生夫妻に小林先生夫妻。双方お子様連れだ。
あとはうろな高校の田中先生。ホビーの直澄さんが落としにかかっていつゴールインするのかトトカルチョのネタにされている。直澄さん気がついてんのかね?
GW中に植え替えや剪定を進めるつもりだと言ってたら張り切ってしまった鹿島先輩について合田先輩も一緒についてきた。
ちびっ子がコケゾーンに近づこうとするのを引き離していたら、なんか大掛かりなことになってたけど、まぁ、責任はコレ清水先生だし、オレの労力が増えるわけじゃないので問題なし。
気がついたら木下先生も戦力になってたし。
あと、文芸部の部員も数人ついてきてる。
ま、普段は一人で時々日生の双子に手伝わせてた状況だったから助かるし、女子が多いから目の保養だしねー。
お昼もご相伴させてもらって満足満足。双子も呼びつけてみようかと思ったけど、呼ばなくて正解だな。中島千歳とは相性悪いから。
誓と蒼華ちゃんにじゃれ付いてるのを見てそう思う。
◇
高原さんが鹿島先輩と横島先輩について園芸部についてくるのに合わせて一緒についてきた。
家にいても暇だしね。
先生達のお弁当はちょっと、いやかなりヒット。
家の母さんとおばあちゃんはテキトーご飯しか作らないし。
栞姉さんは三回に一回は卵の殻の残った卵焼きや、ホットケーキを作る料理の腕前。
コレきっと遺伝だと思うの。
と言うわけで私は料理に手を出す気はない。
お弁当をいただきながら横で高原さんが
「私も直樹さんにお弁当を!!」
とか言ってたから
「あんまり無理しない方がいいよ、高原さん」
と声をかけておいた。調理実習中の手際を思い返すとあまりオススメできない感じだしね。
剣道部の先輩達の襲撃のあと、千歳が飛び込んできた。
お前部活はどうしたーーー!?
飛び込んでふっと一瞬力が抜ける。
聞こえる鼓動が一気に早くなって、すとんと聞こえなくなる。
高原さんと視線を交わす。
こわいんだよ!
こいつのこういうトコ。
「うわっ。美味しそう」
慌てる私と高原さんに気にすることなく、むくり復活してご機嫌で私の取り皿から照り焼きチキンをつまんで口に放り込む。
「こら。手を洗ってないだろう」
「えへへー」
その後はわいて出た先輩たちがお弁当を貪る。ちょっと引くわー。
千歳は気にした風もなく混ざってたけど。
視線を逸らせば清水先生の周りに黒いオーラが漂っていた。こわっ!
千歳の差し出したお弁当に手を伸ばす。ラップにまかれたロールサンド。
「おばさんが作ってくれたの?」
「ん? 休みの部活用は自作。上手にできてるでしょ? 『お料理ぐらいできなきゃ素敵な恋はできない』これがお母さんの実家から伝わるモットーよ!! 掴むなら胃袋からってね。かっこいい人いないかなー?」
あ。高原さんが拳握ってる。
「玉の輿狙い?」
今時? とも思うけどね。
不思議そうに千歳ちゃんは空を見上げる。
「ん~好きになった人がお金持ちでもダメンズでもさ、自分で得意スキルがあればよくない? お料理なら健康も気を使って上げれるもんね。姫もそー思うよねー」
ぽやっとしてる高原さんが何を考えてたのかは知らない。
ふとまわりを見れば、いちゃラブの花園だった。
あー。
ちっちゃい子って可愛いわね。
『うろな担当見習いの覚え書き』
http://book1.adouzi.eu.org/n0755bz/
5月5日の部活話
http://book1.adouzi.eu.org/n0755bz/11/
とリンク
鹿島萌ちゃん
合田くん
清水先生夫妻に小林先生夫妻
木下先生 横島楓ちゃん
田中先生
高原直澄・蒼華
お借りしました。




