るぅるぅ墜落紀行☆作為編【GW】
5/3 赤い缶
缶をがつんがつんと振り回す。
「どこを捻ればのめるのだ~~~」
なぜか隙間がないのだ。
引っ張ってもすっぽ抜けそうなのだ。
こうなったら噛んでみるか、突いてみるとか、切ってみるしかないか?
地面に缶を立ててじっと見据える。
どうやれば中身を口にできるか……?
「喉が渇いたのだっ!!」
「開けてあげるッスよ~」
叫んだ瞬間、ひょいっと目の前から缶が消える。
「る?」
さっきの少女と同じ黒髪ロング。頭の上で束ねる髪型。そぅポニーテールという奴だ。
「ありがと~なのだぁ。るぅるぅ喉が渇いてるのだ~」
言いつつ首をかしげる。
うん。たぶん。
「ありがと~なのだ。おねーさん」
きっとるぅるぅより年上なのだ!
「どういたしましてッスよ」
渡された缶を口の上でさかさまにする。
流れ込んでくる物を嚥下。
脳裏に電撃が走る。
「ど、どうしたッスか?」
ほろほろと涙がこぼれる。
「た、食べ物だったのだ。……飲み物じゃ、なかったのだぁああああ」
ショックで泣くしかできなかった。
「……おしるこは微妙ッスね」
るぅるぅがショックで手放した缶を拾い上げ、一言。
せつない。おしるこはのどの渇いてる時はダメだったのだ。
ひとつ知らなかったことを知ったのだ。
「もう一個気になった方のがよかったのだ~」
ぐずってたら、抱き上げられて、箱がよく見える。
「どれっすか~?」
「あの黄色いのなのだ!」
びしっと指し示す。
じっとそれを見つめたおねーさんがゆっくりとるぅるぅを見下ろす。
オレンジの瞳がるぅるぅの赤い目と交差する。
「アレも、微妙っス」
「な、なぜなのだ!?」
拒否られたのだ!
「アレはコーンスープッす。喉を潤すには向いてないッスよ」
な、なんだと!? スープだと……?
そ、そんな……。
「るぅるぅが気になった飲み物は全部飲み物じゃなかったのだ」
ふらりとめまいを感じる。見上げる空は青い。
「る、るぅるぅの好奇心は。るぅるぅが飲める物は、ないというのだ?」
がこん。
かしゅ。
空を見上げ、たそがれているとそんな音が聞こえる。
「ほ~ら、るぅるぅ口をあけるっス~」
言いなりに口を空にむけて開ける。
「おお、なかなか鋭い牙ッスね」
「虫歯はないのだ~♪」
笑い声が降ってくる。
「喋っちゃダメッスよ~」
注がれる液体はひんやり。
喉を滑り落ちる液体。
「おいちーのだぁ」
喉も潤ったのだ♪
ひといきー♪
「るぅるぅはるぅるぅなのだ。飲み物をありがとうなのだ。さっきの飲み物はなんなのだ~?」
「リズっすよ~。どういたしましてッス。ジンジャーエールッスよ」
しゅわしゅわだったのだ。
しばらくおしゃべりタイム。
「るぅるぅはごじゅー年生きたるぅるぅなのだ。もう子供じゃないのだー」
「そうッスか。いくつで大人な種族なんっすか?」
……。
「るぅるぅ?」
朗らかな笑顔に裏はなく。るぅるぅは軽く視線を逸らす。
「いちおう、百年生きて成体とみなされるのだ」
「あと五十年は子供ッスね」
ぽんぽんと投げては受け止めるを繰り返して遊んでくれる中の会話なのだ。
「子供じゃないのだ~」
「言ってるウチは子供ッスよ~」
ぶーたれてるとぽんぽんとあやされる。
「 そこまで子供じゃないのだ~~~ 」
「わかったッス~。子供じゃないッスね~」
あきらかに子ども扱いされたのだ!
『悪魔で、天使ですから。inうろな町』
よりリズちゃん
http://book1.adouzi.eu.org/n6199bt/
お借りしました☆
「るぅるぅはー。子供じゃないのだー」
「わかってるッスよー。いい子ッスねー」
「るぅ♪」




