部活
「千歳ちゃんはどこの部活にするの?」
部活を決める。
はっきり言ってめんどくさい。カードゲームでデッキを組んだり、お話を想像したりしてるのは好きだけど、あんまり興味ないんだよね。
やっぱり帰宅部か軽い系文化部がイイ。
運動部はちょっと無理。
暑苦しいのとか人間関係の上下とか考えられない。文化部もそういう意味で言えばダメなとこはダメだろうなと思う。
そんなコトを考えてたら千歳ちゃんは満面の笑み。
「んーっとね、走れるとこ! 出来れば難しく考えず走りたいよね〜」
!?!?!?
「は、走る? しんどいじゃない」
何あり得ない発言をしてるの?
「えー。走るのってさ、気持ちいいじゃん。最初、『みんなで走ろ〜ね』って走ってるのを横目で見つつ、あ、私はまじんないよ? こう、運動神経とか持久力の兼ね合いでばらけていくのを横目で見る頃くらいからさぁ、こう、音がね、風しか聞こえなくなってきて、ふわっとした感じで気持ち良くなってきてくるんだよねぇー。前に人が見えなきゃサイコー。一旦苦しい山場を越えたらさぁ。もう勝手に足が動いてる感じ? 気分で速度を変えて負荷をかけ直すんだ。そこまで行くと前後に人がいても関係ないよね。もう、ただただ気持ちいい」
うっとりと夢見るように紡ぐ千歳ちゃん。
ゴメン。引くわ。
というか、同じ部活は確実に無理。
「走るのってさ、まじ楽しくて気持ちイイ。おんなじルート走るんなら一分一秒早くなってたら気持ちイイし、ただ歩いてるのとどっか景色も違って好きなんだー。走り終わればさぁ。ちょっとパタンしちゃうけどさ〜」
ん?
「千歳ちゃん。パタンってなに? パタンって!」
「えー。パタンはパタンだよー。真っ暗になってパタンして、少し休めばオッケー♪」
待って!
こわいからっ!
「千歳ちゃんは、きっと運動部がイイとおもう」
ちゃんと先生とか先輩とかに見守られてた方が絶対に安全だよ。
「えー。そっかな〜?」
こっちの真意に気がつくコトなく嬉しそうに笑う千歳ちゃん。ゴメン。ちょっと胸が痛い。
「うん。きっと活躍できるよ! ただ、私は運動苦手だから文化系でちょっと見て回るつもりかな」
「ふぅん。じゃあ、姫はなんにするのかっな〜?」
「千歳ちゃん、高原さんって呼ばなきゃ」
「親しみを込めた愛称だよ〜? オカチー」
「それもか」
「うん! あ! 姫はどこの部活に入るの~~」
「千歳ちゃん!」
教室に戻ってきた高原さんを見つけた千歳ちゃんが飛び出していく。
ああ、ごめんね。高原さん。止めれなかった。
『うろな担当見習いの覚え書き』
http://book1.adouzi.eu.org/n0755bz/
より高原蒼華ちゃんをお借りしました☆




