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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2014春
453/823

4/13 ビーチ遊び

「面白くないわ」

「おにーさんを足蹴にしながら言うセリフがそれはどうかと思うな。お姫様」

 パジャマよりマシという程度のシャツにところどころ擦り切れたジーンズ。ちょっと汚れた感じの冴えない男。

 場所はお家近くのビーチ。目の前では二匹の犬と遊ぶべるべるとアリアちゃん。

 時々二人とも誘うような仕草を見せるけれど、首を横に振って見守りの位置をキープ。

 していることは年上の顔なじみ相手に愚痴だけど。

「……。何で馬鹿千秋にバカ呼ばわりされなきゃダメなのよ」

「体重かけんなって、あ、髪引っ張ったら痛いって。アリアが気に入らないのか?」

「ううん。そんなことはないわ。鎮兄や千秋兄の対応は気にならなくもないけど、ね」

「ああ、自分のお兄ちゃんなのに盗られたみたいでイヤだ。と」

「そんなことは言ってないわ! 油売ってないで仕事をすることね!」

 びしりと指を突きつけると苦笑いと共に挙手される。

「はーい。お姫様」

「なによ」

「現在進行形で仕事中デース。いちおーお姫様の警護担当だからね」

 そう。この顔見知り。グリフ兄が派遣しているボディーガードだったりする。

不必要イラナイ、この町において必要のなさは確実だわ!」

 ここは日本。基本的に安全な国家だ。

 しかも、近隣のお付き合いはけっこう密で見守りが行き届いているような町なのだ。

 基本的ルールさえ守っていれば危ないことなんかあるはずもない。

 つまり給料泥棒だ。

「マンディが体調崩したり、不審な事故がむこうで多発してるから、念のためだって。あと、四月は人の流動が激しいから近場警備が好ましいの。我慢してね?」

 それとなく、向こうの情報を流してくれる。

「いや!」

 ひっそり警備ができない言い訳をされて気に入らない。

 また、海ねぇに不審者扱いされちゃえばいいのにとか思わなくもない。

「あっちのおにーちゃん達みたいなこと言わないのー。警備対象に逃げられたり、何かあった時についてられなかったりでむこうの始末書、処罰はんぱないらしくってさ。おにーさんは減給は避けてほしいから、大人しく警備されてて? 夜のお散歩も禁止の方向でさ?」

「夜のって、たまに浜に出てるだけじゃない」

 お家から少し出るぐらいだ。ちょっとぐらいいいじゃないと思ってしまう。

 それにしてもあっちのおにーちゃんたちって隆維涼維兄達か。

「お子様の夜間外出はダメだよ? お姫様」

「もう、四年生だわ!」

 ぽふぽふと、撫でられた。

「バート兄の元彼のクセに生意気!」

「あれもお仕事デース」

 ちょっと冷たい風が吹く。

 じっと見る。黒い瞳がじっと見返してくる。

 居心地が悪くて目をそらしたのは彼。

「少し、くらいなら大人しくしといたげる。だから妙な条件つけないでよね!」

「あー。美丘の愛菜ちゃんとあんまり関わらないでほしいとか?」

「そうよ」

 子ども扱いで撫でられる。

「でもな、あんまりいい影響はないぞ?」

「なんでよ!」

「答えられない」

 まっすぐな視線は逸らされない。

 答えてもらえないとわかる。悔しい。どうして、私は子供なんだろう?


『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』

から海さん(話題?)お借りしております♪

http://book1.adouzi.eu.org/n7439br/

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