4/11 マジで!?
「小梅センセー。遊びに来たよー」
「ミホか」
「はーい。みっほでーす。おまけのみどりちゃんと、ありあちゃんでーす」
ハイテンションなミホさんを無視し、病室を沈黙が支配する。
「中学生と小学生? ミホ、今日は平日じゃなかったか?」
はじめ、嬉しげだった表情がすぅっと静かになる。
「えーっと。今日はぁ、四月十一日金曜日でーす。アリアちゃんは母国からお迎えが来るまでいるって状況だから問題なしー」
「べいびーかわいいー」
アリアちゃんの言葉に少しだけ表情が緩む。
「で、みどりちゃんはー。現在言うに言えない理由で地元脱出中の自主休学中ー。あとで日生のおばさんとお話し合い決定」
ピッとポージングするミホさん。
さーやねぇをおばさん呼びかぁ。怒りはしないだろうけどなぁ。
いつの間に決定されたんだろう。ちょっと視線を外せば双子のおちびさんがすよすよ。ちょっと和む。
平日の町中、遅刻寸前の学生さん達とすれ違いつつ歩くのはどこか気が引けた。
小梅センセと呼ばれた女性はおれを見てる。
「いきなり、お邪魔してすみません」
謝罪をしておく。
「かまわない。しかし、親御さんが心配してるんじゃないか?」
そう言いつつ双子に慈愛の眼差しを向ける。問いかけはきっと彼女の心配なんだと感じる。
「そうかも知れません」
『あの人』を見かけた気がして突発的に夜行バスにむかった。
逃げるのは初めてじゃない。
「しばらくこっちにいるんだって〜」
ミホさんがにこにこ女性に教える。
気まずい。
まるで不登校の生徒を見るような視線で見られているような気がする。
「学校は嫌いか?」
問われて、首を横に振る。
友人も先生も勉強もやりがいがあり、不満はない。逃げなくてはいけない事が不満だった。
「えー。ミホは〜べんきょーとかこーそくとか嫌いだったなーきゅーくつ」
「ミホは自由過ぎだ。必要だから規則はあるんだぞ?」
「だって〜」ぷぅっと膨れるミホさん。
「必要最低限のルールも守れないと信用される人にはなれないんだよ?」
「お約束はだいじなんだよぉ」
おれとアリアちゃんが言えば、ミホさんがより膨れる。
「ミホはぁ、別に健いがいのひょーかってどうでもイイもん」
ただ一人の評価ってそれはそれできつそうだよなぁ。
「小梅センセも赤ちゃん達も元気そーで良かったぁ。二人とも〜赤ちゃん達、可愛かったでしょー」
はしゃぐミホさんに向けられるのは『仕方ない』と言わんばかりのぬるい眼差し。
「学校で得れるコトは勉強だけではないからな。嫌いでないのなら学校には行くべきだろう」
隙を縫って告げられた言葉。
「まるで学校の先生みたいだ」
面倒見いいタイプの。
呟けば、
「小梅センセ、中学教師だよ?」
ミホさんに教えられた。
なんですと!?
◇
「次はシズちゃんの彼女を見に行くぞ〜」
「おー」
「えっ!? しーちゃん彼女なんかできたの!?」
『うろな2代目業務日誌』から
小梅センセお借りしましたー




