4/10 料理部☆
「新入部員強引ゲットーーー」
拳を振り上げ、麻衣子ちゃんが吼える。
中島千佳ちゃんがその勢いにドン引き中。
もう一人の有坂千鶴ちゃんは関心なさげに料理本をめくっている。
千秋くんはこの二人を紹介したと思ったらどこかへ行ってしまった。
「千佳ちゃん誘ってくるとは思わなかったなー」
菊花ちゃんが言う。
「そうなの?」
「うん。避けてるんじゃないかと思ってたから」
チラッと見てると栞ちゃんが中島さんに声をかけてた。
「大丈夫。悪気はないし、テンションの高さにはじき慣れると思うから。二年の岡本栞。よろしくね」
「む、えっと、中島千佳です。あの、ち、日生せんぱいは……?」
つっかえつつ、尋ねている。
確かに連れてきた先輩が姿を消せば心配にもなるよね。
調理室にいるのは麻衣子ちゃん、私、菊花ちゃん、英くん、栞ちゃん、中島さんと有坂妹ちゃん。
「んー、あいついないこと多いし、三年だからどっちにしろ出席率は低くなるんだよねー」
菊花ちゃんが答えてる。
一応受験だしね。
「そぅ、なんですか」
少し沈んだ感じの反応に、にやりと菊花ちゃんが笑う。
「千秋に気があるの~?」
「違います!」
間髪入れずに反応が返ってきた。
この時点で今年の一年いじられ要員は中島千佳ちゃんかな?
「へぇ~、過剰反応~♪ 千秋の反応も他の相手とは違うのは確かだよねー」
「そ、それは」
気まずげに視線を泳がせる中島さん。
菊花ちゃん、ある程度の事情を知った上で弄るのはやめたほうがいいと思う。
「有坂さんはお料理作れる?」
「一応、多少は作れます」
「中島さんは?」
さっきまでわたわたしてた中島さんは逃げ道っとばかりに乗ってくる。
「あ、一応お母さんのお手伝いくらいなら。えっと、クッキーとか、卵焼きとかぐらいですけど」
あ。良かった。
「卵が無事に割れるんなら上出来よー」
ふわっと中島さんが笑う。
「えー。卵ぐらい小学生でも割れますよー」
うふふー。でもね、できない先輩がいるんだよねー。




