新学期
新しい住所。
新しいお父さん。
新しい弟。
新しい妹。
新しい制服。
お母さんが子供の頃過ごした古いお家。
お母さんもお姉ちゃんもまぁ年季がはいってる。
そして新しい名字!
武藤改め、
中島千歳!
新天地で頑張ります!
お庭の椿がゆらり風に揺れる。
「早く出ないと遅刻するわよ」
お母さんの言葉に慌てる。新学期早々遅刻はいやー。
「やーん。いってきまーす」
「二人とも学校で問題起こすんじゃないわよー」
「起こさないもーん」
「大丈夫だって!」
私とお姉ちゃんがひどいことを言うお母さんに言い返す。
新しい中学校。
新しいクラス。
新しいお友達。
うーん。
二つの小学校から上がって来てる子が多いから、微妙にグループがもうあるっぽい?
あ。
オカチー発見!
ホビー高原で会ったオカチーと再会。ちょっと嬉しい。
「オカチーやっほー」
「おはよう。その呼び方やめない?」
朝の挨拶。おお。挨拶はやっぱりおはようだよね。
「おっはよー。岡本さんちの誓ちゃんだから、オカチーって思ったんだけど、変?」
「変だと思う」
すっぱりきっぱり『変』って言われた。
えー。
そんなコトないと思うけどなー。
他に声をかけるのもちょっと控えて、オカチーに絡んでたら横からきっつい感じの声が聞こえた。
「騒がしいですわね」
ちょっとツンっとした印象の美少女だ。
そのきっつい発言がかっこいいよ!
「ごっめーん。中島千歳でーす。よろしくねー」
どんなきっかけでもさ、声をかけてくれて嬉しいよね。
チラッとこっちを見てどこか仕方なさそうに息を吐く。
「高原蒼華ですわ」
けだるげ物憂げな態度がなんだか、
「姫か、お嬢って感じ?」
うーん。悩むなぁ? どっちの呼び名がしっくりするかなぁ?
「ち、千歳ちゃん」
悩んでるとオカチーが腕を掴んでくる。
え? なぁに?
「な、何ですの。その馬鹿っぽい呼び名は」
バカっぽいかなぁ?
ぴったりだと思ったんだけど。
「うん。高原さんのイメージ? 姫って、呼んでいいよね?」
「お断りですわ!」
「えー」
でもタカソーはなんか違うしなー?
「だってそんな第一印象だったんだもん。じゃあ、なんて呼ばれたいの? フレンドリーで呼びやすい呼び名ぷりーずぅ」
「ごめんなさい。高原さん、千歳ちゃんに悪気はないんです。ただ馬鹿なんです!」
え!?
「オカチー、ヒドイよぅ」
『うろな担当見習いの覚え書き』より、高原蒼華ちゃんお借りしました♪
http://book1.adouzi.eu.org/n0755bz/




