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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2014春
443/823

4/3 映画観賞

 映画を観にモールに来た。

 千秋兄と鎮兄、あとアリアちゃんはパスった。

 それでもけっこう子供ばっかでごっちゃりだけどね。

 みあとのあがにこにこと縁クンをエスコート。芹香とミラちゃんが紗羽ちゃん、隆維と鈴音ちゃんが基本、千佳さんの相手をしている。

 で、俺が千歳ちゃんの相手をしてる。

「仲良くしたいだけなのに。なんで嫌がられるの? 親戚ほとんどいないから、ちょっと遠くても親戚で嬉しかったのに」

 不貞腐れてる千歳ちゃんは本当にわかってないんだなと思う。

「千歳ちゃんには多分、わからないと思う。千歳ちゃんが悪いわけじゃないし、俺たちだって悪くない」

「どっちが悪いなんて言ってないよ!?」

 悪いと言う単語を使ったからか、睨む感じで言われる。でも年下の女の子を素っ気なく扱ってる時点で多分、俺の方が悪いレッテル貼られるから。

 だからって隆維や鎮兄みたいに表面的に『気にしてません。仲良く受け入れましょう』はできない。

「あのね、千歳ちゃん」

「うん」

「千歳ちゃんが俺たちがいるのを知って仲良くしたいって思ってくれるのはさ、自由だと思う。でも、俺たちからしたらさ」

 総合意見にするのはホントはあんまり良くない。俺の独断だから。

「ぅ、うん」

「いったん、俺らの親を捨てた家なんだよ? いなくていいって、行動をとった家の子なんだよね。千歳ちゃんは」

 一つ息を吐く。

 ピシッと固まって反応できていない様子を見る。

 ああ。『捨てた』なんて言葉が出るなんて思わなかったんだ。

「だからさ、関わりたくないし、この事実に妹たちが傷つくような状況も家の中がトゲつくのもごめんなんだよね」

 いらないって言った家で、必要だ。大切だって言われてそう対応されて育った子が、『仲良くしてあげる』と手を差し出してきて、どうして素直に受け取れるんだろう?

 どうして、受け入れられると思えるんだろう。

 父さんは、千歳ちゃんの存在や立ち位置を知ってる。それでも関わろうとはしていない。あーや叔母さんは、『捨てた血族』に対する拒否反応が強い。と言うか、話題自体嫌がるし、そのあたりの話題に対してなだめるような口調とかにはすごく反発するから話題に上らない。

 だから、鎮兄や千秋兄がそう言う話に興味を持つのは、母親への裏切りに当たるから見ようとしない。回避したがる。って言うのが隆維の意見。俺も同意だし。

 俺や隆維はまだいいけど、それでも、できるだけ関わって欲しくはない。

 だから、傷つける言い方をしたと思う。

 千歳ちゃんは悪くないんだよね。ただ、状況が優しくないだけ。

 その状況で鎮兄が『母親』より『千歳ちゃん』を優先することは考えられない。それでも傷つけないように振舞うって、その痛みはどこに降るの?

 あ、千佳さんが千秋兄に嫌われてるのはどうも自業自得。

 芹香はちらりと見たっきり千佳さんと千歳ちゃんに構わず、『ちっちゃい子の面倒くらいみれるわ!』と回避している。

 まぁ、隆維が軽い壁役をしてるし。

 鈴音ちゃんが『引っ越してきたばかりの新しいお友達』として接してるしなぁ。『親類発言』は全部潰してるんだけど、あれ、わざとかなぁ?

 中学校にも、高校にもいるのかと思うと、ちょっとめんどくさいと思う。

 平和に過したいんだけどなぁ。


「だって、そんなの、知らない」

「うん。知っといて。今知ったよね? お姉ちゃんになったんだよね? 俺もおにいちゃんだから妹たちが傷ついたりするような状況は嬉しくないんだ。普通に関係ないただのご近所さんで仲良くなれるんならそれがいいよね」

 このくらいしか譲歩できないんだよね。

 だって、千歳ちゃんの不用意な発言でチビたちが傷つくようなことになるのはイヤだし。そのことを言っておかないのはもっとイヤ。

 せめて、そのぐらいは千歳ちゃんにも考えて欲しい。

 千歳ちゃんの言葉を受け入れたら、家族うちのバランスは崩れると思うんだ。

「でも、いつか、受け止められるようになればいいよね」

「難しいんじゃね」

 その言葉と共に渡されるポップコーンのカップ。見上げれば隆維。

「時間?」

「ああ。行こうぜ二人とも」


 んじゃ、

「行こうか。千歳ちゃん」

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