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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2014春
430/823

3/11 いくぞ 避難訓練♪(定時)

 今日は三月十一日。

 中学だった時に、大きな地震があった。

 うろなに大きな被害はなかったけれど、その傷跡はまだ回復していない様が時々放送されている。

 ここで暮らしてる分にはあんまり実感はない。

 大変なんだなぁって思うくらいで。

 そして、今年はミホも大変な思いをすることになった!


 学校にきたら「今日は避難訓練でーす」って、風峰兄が教室でいきなり言った。

 かったるいなーって思ってたら「裾野までのウォーキングでーす」って、とんでもないことを言われた。

 しかも現地解散!

 ありえなぁああい。



「はい。まずひとつ!」

 いきなり声を上げる風峰兄。

「第一の避難場所は校庭です。しかしー。揺れが落ち着くまではむやみに動いてはダメ! 怪我のもとになります」

 めんどくさーい。

 そのままだらだらと教師の誘導に従って校庭へ。

 そこでストラップライトが配られる。ついでにペットボトル一本とタオル一枚。マジでウォーキングらしい。


「東と南に海があり、津波の危険はこのうろなにももちろんありまーす。というわけで、東と南を避けて避難します。しかし!」

 なぜかそこで言葉を途切れさせる風峰兄。

「我らがうろな高校の傍には病院施設があります。というわけで、困っていたら助けられるように軽く病院周りで避難経路パターンを組んでみましたー」


 なに言ってんの?


「そしてラジオ。津波警報には要注意。警報が出たその場合は教師の指示に従い、指定の最短ルートを行くことになります。その時に注意することは、焦らないこと。昼間なら見えるものも、暗い夜では見落とします。落ちてくるものも、足元の状況も要注意ねー。会社勤めの子達は指定の安否メールを発信しておくことー」


 生きてるメール?


 ぶらっと歩きながら自販機の前でストップ。

「はーい。こちらの自販機にちゅーもくー」

 ただの自販機だ。

「災害時に使えるスポットでーす」

「あー。知ってる。知ってるー。お金入れなくても飲み物が出せるんだよね!」

「まぁそーでーす。『緊急時飲料提供ベンダー』と書かれている自販機がそれに対応してますねー。詳しい仕組みは知りませーん。興味がある人は先生に聞いてくださーい。んじゃ、次行ってみよーかぁ」


 中学校そばや南小のそばを通りつつ、商店街に向かうルート。

 ところどころの倒れてくる恐れのある壁の危険性説明や公衆電話等のスポット紹介しながらの道行きなので速度はない。

 ただ地味に疲れるのは確かだった。

 元気なメンバーも多いけどさ。

 高架そばを通る時、注意を促された。

 落ちてくる危険性と、落ちていて道が塞がれている場合の危険性の注意だった。

「大丈夫だとは思うけど、絶対はないからねー。歩きの場合はガソリンスタンドとかのそばも少し避けたいかな? 万が一の火災の危険もあるからねー」

 ちょっとコワイ。

 そして川のそばは地震の影響で水量水流がどう変化するかわからないので寄らないのが風峰兄ガイドの方針らしい。

 そういえば、なんか地震のコワイ映像を見たかもしれない。

「こんなに距離を歩くの疲れちゃうわぁ」

 まゆちゃんが息を吐いて壁にもたれる。

「本番はもう少し速度を出して歩かないとまずいかな? 今日はコース確認が主な目的だからね」

 風峰兄の言葉に頷くまゆちゃんに舞ちゃんがそっとサポートに入る。

「あら、ありがとう」

「助け合いも趣旨のうちでしょ」

 少し突き放すようなかわいらしい物言いにまゆちゃんがにっこりする。

「舞ちゃんったらかわいいわぁ。歳の離れたお姉ちゃんいらなーい?」

 照れてるような舞ちゃんが可愛かった。くぅ。明るかったら赤くなってるのとか見れたのか!?

 ちょっと惜しい。



「遅れすぎると迷惑かけるわよ?」

「ほ、ほっといてくれ」

 振り返ればギリ見える位置にいるヒロタカ君と飛鳥だった。

 なんとなく周囲は待ち体制。

「はい」っと、差し出される中身の見えない風峰弟のキャンディー袋。

「ありがと」そう告げてひとつひく。

 口に放り込めば、辛かった。

 手に残された包みをライトで照らすと『激辛ワサビ君』と書いてあった。

「こんなの何で買ったのよ!」

 すいっと視線を外される。

「買ってない。懸賞で当てた」


「むぅ。さいてー」

「袋見ずに口に放り込むからじゃねーか。こいつの差し出すブツだぜ?」

 なぁ。っと健があっしー君に同意を求める。どうやらあっしー君も何度かまずいのを貰ったらしく「確かに」と微苦笑していた。

 だって今までコンビニで見かけるような奴ばっかだったんだもん。


 あれ?

 

 飴玉で餌付けされてる?


 んー。気のせいだ!

 追いついてきたヒロタカ君にあえての山葵飴を放り込み、いざ出発。

 裾野はまだ遠かった。


『ユーザーネームを入力して下さい。』から津田舞ちゃん。

http://book1.adouzi.eu.org/n9290bv/


『冬過ぎて、春来るらし』より葦原 瑞穂君お借りしました。

http://book1.adouzi.eu.org/n7507bq/


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