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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2014年一月
405/823

2/13 バレンタイン前日④

宣言!?

「あのね、セリちゃん。ママから届いた荷物があったの」

 べるべるが手を打って嬉しげに笑う。

「へぇ。すごいね」

 亡くなったママから荷物なんてどういうカラクリかしらとは思うけれどべるべるが嬉しそうだからいいかなとも思う。

「かわいい服とね、本とね、オテガミ」

 お手紙の言葉だけが微妙にカタコトでテンションが下がっている。

「あ。お返事きたのー? すごいじゃない。良かったね」

「う、うん。そうなんだけど、ちょっと違うっていうか、なんだろう?」

 盛り上げようと明るく言ってみるが首をねじるように傾げるべるべる。

「せりちゃーん」

 汐ねぇの声に意識がちらりとそっちを向いてしまう。

「読めない漢字ばっかりでオテガミが書かれてるんだよね」

 ぽつっと漏らされた言葉を意識に止めそびれた。

「うーしーおーねーぇ。おいしーチョコ食べれるー?」

「セリちゃん! 違うの! 今日はプレゼント用のチョコを作るんだよ!?」

 はたりと我に返ったらしいべるべるが私を引き止める。

 えー。

 海ねぇのチョイスだったら絶対おいしいんだよ?

 おいしいのにどうしてまず自分で食べずに人にあげんの?

 汐ねぇは楽しそうに笑ってやり取りを見ている。

「べるべるはあげる用を作る! 私は食べる用を海ねぇに作ってもらう! ほら幸せだよね!」

 解決ー。

「なんか違うよぅ。天音、おねぇ……。うん。ごめん。いい」

「……。鈴音、その対応は正しいけど、不適切だからね。汐ちゃん、今日はできるだけ見張っておくつもりだけど、よろしくね」

 天音ねぇさんの言葉にべるべるの『やばさ』を思い出した。

 『チョコ』+『生魚』はおいしくないどころか、げきぶつだと思う。

 世の中で作り出してはいけないものだ!

「わさびチョコもダメ?」

「素人が作ろうとしちゃダメ」

 ざくりと切り捨てる天音ねぇさん。

 正しい。正しいよ。

 すすっと距離を取り、汐ねぇに囁く。

「べるべるがコワイの」

 でもこれは私がべるべるに負けてるってわけじゃないんだからっ!

 汐ねぇも会話の流れを見ながら少し引き気味に笑っている。

 チョイスよ!

 食品チョイスがコワイだけだもん!


 でも、女の子ばっかでチョコ作りって言うのも楽しみだな。

「食器のお片づけなら手伝えるの♪」

 あれ?

 天音ねぇさんの眼差しが疑い深そうな?

 まぁ、見ないことにして。家庭科は苦手なのよ!

 少しくらい苦手があった方がかわいいって鎮兄も言ってたわ。

 思いっきり何かをごまかした表情でね!

 く、悔しくなんかないんだわ!

「て、適材適所ってあるもん!」

「一緒に頑張ろうね。汐おねーさんは誰かあげたい人いるの?」

 嬉々として汐ねぇに尋ねる。

 汐ねぇがあげるのは身内の男の人たち。

 ちょっとがっかりそうなべるべるはそう言うことにとても興味があるのがわかった。

 少し、意外。

 でも、そうなんだよね。

 知り合って一年近く。

 べるべるはあんまり自己主張せずに私や周りに合わせてくれる。

 だから、べるべるの本当に好きなことは知らなかったんだと思う。

 そーいえば。

「べるべるは誰に一番あげたいの?」

 振り向いてこっちを見た表情はふんわりと柔らかな笑顔。

 少しだけ挑戦的な色のある眼差し。

「隆維に食べてもらいたいの」



 五秒。意識が止まった。


 次に出た言葉は。



「有り得ない!! ダメに決まってるじゃない!!」






 そのチョイスであんまり体調のよくない隆維兄を殺す気か!?





青空汐ちゃん 海ちゃん(お名前)

『キラキラを探して〜うろな町散歩〜』からお借りしました♪

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