11/30 相手を知る一歩
『"うろな町の教育を考える会" 業務日誌』
11月30日 花嫁奪還大作戦その11 嘘には嘘でお返しだ!謎を解いたら出発進行ー♪
と軽くリンク
『時雨』
11/30「なんかやってる」の続き
ネタ的には暗め?
「そういっちゃん」
なんだか、気になって声をかける。
「シアンちゃんですよー。衣装を着たら役に入るんです☆」
軽い口調でかわされる。
「そういっちゃん」
「かーらーすくぅん。イベント中だぞ〜」
スルーする姿は、シアンちゃん。
斜めに構えてチャラい感じ。
「勢いだから。本気で言ってるわけじゃないから」
さっき自分が口にした言葉を繰り返す。
ホンの一瞬、空気が変わった気がしたんだ。
「ぁー。もう。そんなことわかってますよぅ♪ 今は、イベント中ですよー。シアンちゃんはぁ悪戯好きな小悪魔ちゃんですからアレ褒め言葉ですよ?」
「シアンちゃんは平気なんだろ?」
「もっちろん、そんな些細なこと褒め言葉として喜ぶだけですー」
シアンちゃんは平気だと言うのも疑わしい。それでも。会話を回避してる感じが強いんだよ。
「だから、そういっちゃんは平気じゃないんだろ?」
「……。僕だって、平気に決まってるでしょう? 僕もシアンも一緒じゃないですか」
気持ちのない平坦な声。諦めたようなため息。
「だいたいそんなに接点のある人たちじゃありませんから、気にするようなことじゃないです。先輩が気にするようなことでもないですよ」
興味ないとばかりに切り捨てる。
そこが痛い。
「だって、修正する気ないだろ」
「修正?」
わからないと言わんばかりの表情。
「イメージっていうか、評価?」
「必要ですか?」
「必要だろ?」
だって、本当にそう思われていいという態度を選ぶのは間違っている。
「どうやって修正するんです? 僕の提案や行動の事実に対して下された評価でしょう? 他人の評価をどうこうしようという行動は無意味だと思いますよ?」
切り捨てる言葉は確信がこもっている。
「無意味って」
「無意味ですよ。それに気になるかどうかと言われれば、気になりません。……慣れてます」
慣れ……ていいことじゃない!
「な!」
「先輩だって、まわりの評価や評判は気にしないでしょう?」
「えっと、まぁ」
それはそうなんだが。
「それにね、人は面白い方に流れるんですよ? 無理に修正しようとせずにそのまま流してる方がいいんです。思ったことを口にしただけで嘘はないですしね。そのぐらいのことを言っても大丈夫だという評価をもらっているということだと思いますよ。ね」
その言葉は確信と諦めだ。そう思うことで痛みを逸らすための。
「でもさ。本当にあれはただの軽口で」
「わかってますから、事実、やりすぎだったんでしょうし。でも、ちゃんと逆転できてよかったですよ。あのぐらいの落差が盛り上がりを呼んで共感してくれるんです。一体感みたいに」
「失敗してたら?」
「日本人は基本敗者に優しい心境になりますよね」
そういっちゃんがにっこり笑う。
だからと前置いて、
「ひどすぎるくらいが丁度いいんです」
相手を知ることは自分を知ることに通じる




