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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2014年一月
394/823

2/11 悪戯計画

 メールを打ちながら物思いに耽る。

 涼維が宿題をしていて、みあのあがバートにいちゃん相手に本を読んで聞かせている。

 あれはやり始めると時々エンドレスにハマる。二人でプチ競争になるのだ。

 バートにいちゃんはこたえた風もなく付き合ってくれている。

 ほかの事に夢中になってることもあるおばさんたちや父さんに頼むより、気楽なんだろうなと思う。

 にいちゃん達もそれとなく頼みづらいんだろうし。

 家の中のムードが変わるのは好きじゃない。

 大きく影を作ったことがある自覚があるからあまり言えないけどね。

「涼維」

「んー?」

「好きだよ」

「うん。好き」

「今年は大量生産だから頑張ってね。力仕事」

「逆チョコ製作要員として好き!?」

「まーさーか」

 可愛い発想で笑える。

 耳を貸せ、と手招く。

「やっぱここはさー。清水先生の荷物に忍ばせるとか、稲荷山先輩の荷物に忍ばせるとか基本だと思わね? あー。あとこっそり木下センセとかさ」

 きししと笑う。

「全部忍ばせんの? なんか悪趣味ー」

 微妙にふてくされた表情。反対なのかな?

「まぁなー。でも反応面白そうじゃん!」

「えー」

「世話になってんのはさー。マジだから、ばれた時の真摯な言い訳もバッチリだ!」

「あーくーしゅーみー」

「手伝わないのかよ?」

「手伝うよ?」

 あっさり返事が返る。

「よし!」

 ふわりと頭の上に重圧を感じる。

「よし! じゃないよ。かき混ぜて遊ぶんじゃない」

 ここ最近、また方向性を変えて機嫌悪い千秋兄だった。

 まぁ機嫌は損ねやすい方なんだけどさ。

「鎮兄にベッド下漁られたんだって?」

 ぐっと加えられる力が増える。

「二度とあいつは部屋に入れない」

「掃除不足怒られでもしたの?」

 涼維がきょとりと問う。

「……そんな、とこだよ」

 千秋兄の返答に笑いをこらえる。

 わさっと髪がかき混ぜられる。

「でも、雪姫ねぇちゃんへの逆チョコは欠かせねぇ。市販チョコに大好きって書き込むか、クッキーにホワイトチョコディップかなーやーむー」

「楽しそうだね」

 涼維がつぶやく。ほんのり呆れと諦めが混ざった声。

「もっちろん」

「……混ざろうかな」

 ほつっと気のせい並みに聞き流しそうな言葉。

「混ざってもいいけど、メイン製作者は俺だぜ!」

「それでいいよ」

 撫でられる。

「時雨も混ざりたがるかなぁ?」

 あいつも雪姫ねぇちゃん大好きだからなぁ。

「チョコレートクッキーで時雨作って、雪姫さんに食べてもらう?」

「おお。雪姫ねぇちゃんも時雨好きだからいい考え!」

 時雨っぽいクッキーの抜き型あったかなー?

「涼維! 楽しみだよな!」

「学校での悪戯チョコ忍ばせ案はお流れだよね?」

「え?」

 何言ってんの?

「え?」

「やるに決まってんじゃん! 千秋兄、ラッピング用品在庫あるー?」

「ピンク系で見繕っとくよ」

 やったー。協力者ゲットー。

「ところで、メール書いてる最中?」

「うん。パティにね。近況報告」

 いろいろとね、連絡は取り合ってる。

 母さんの状況は教えてくれないけど、そっちはおじいちゃんやおばあちゃんに心配かけたくはないしね。

 窓の向こうを見れば、雪がすごく降っている。

 当日や前日はあんまり降ってないといいなと思う。

「猫っぽい抜き型ってコレくらい?」

 いくつか集めてきた涼維の手腕を褒め称える。

「ミラも一緒にクッキー作る?」

「ううん。雪スゴイねぇ」

 キラキラと物珍しげにミラが窓に張り付く。

「外出ていい?」

「ダメだよー」

 興奮気味の申し出を涼維がにこりと笑って却下する。

 ふてくされるが特に文句もなく窓に張り付く。

 その様子は嬉しそうだった。

『"うろな町の教育を考える会" 業務日誌 』より清水先生

木下先生を

稲荷山先輩を『人間どもに不幸を!』から


雪姫ちゃんを『うろな町の森に住んでみた、ちょっと緩い少女のお話』からお借りしております

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