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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2014年一月
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2/6 食事の後帰り道

『大好き』と本意を装って告げられる言葉。

 無条件に『愛情』の『形』を受け入れる様子が『見慣れたもの』で。

 本意で無い。

 それでいて本心からと自分でも考えている。

 それが透ける。

「愛してるよ。シー」

「んー。こっちで慣れたせいか、あんま言われ慣れねーし照れくっせーよなぁ」

 軽く額を掻いた後、にっと笑顔を向けてくれる。どこか照れたような笑顔。




「愛してるよ。ランバート」



「どう、したいんだい? シーが望むんなら叶えれることは全部叶えてあげるよ?」

 その言葉が終わる前に、トンっと軽く距離を取られる。

 冬の夜の装いは布が多くて表情が隠れる。

「要らねー」

 拒絶が伸ばしかけた手を止めさせる。

「大好きだよ。愛してるよ。でもさ。なんで来たの? 俺はここが好き。昔なんか知らない。これからなんか知らない。庭も魔女も約束も」

「知らなくていい。興味を持たなくていい。守るから。シーとチアキは守るから。怖がらなくていいから。絶対に敵に回らないから」

 先を言わせないように抱きしめる。

 壊れそうな脆さが辛い。壊れてしまえばいい。そうも思う。きっと、壊れきった方がこの子は楽なんだと思う。楽であることは幸せかと問われれば難しい。でも苦痛はない。

 冷静な部分では理解している。

 シーは味方確認がしたいだけで、私をさほどは必要とはしていない。

 シーにとって、『チアキを守らない(愛さない)私』は価値がないのだろう。

 その価値がある限りは好意を示してくれる。

 たとえ、それが形ばかりでも。

 自覚はないのだ。

 そう。振る舞うことはシーにとって過去の中の要素。

 それでもどこか刻まれた対応。

 シーに望まれたのは好意を示す事。

 それこそどんな相手にでも。その良い部分だけを見て好意を示す事。

 注がれる愛情は打算まみれ計算まみれ。

 シーは望まれていることを正しく汲み取った。

 私は見ているしかできない。

 彼らは心を破壊する匠であり、私の力は及び難い。

 それでも、シーとチアキは許可をもらって私のものになった。

 私が気がついて嫌がれば返してもらえた。

 シーは私を無意識に利用することを覚えた。

 それを正しいことだと私は教えた。

 あそこではなんであろうと存在・利用価値が必要なのだから。

「変わりたくない。今がいい。それなのに……」

「変わらなくていいんだ。今のままでいい。シーはそのまま好きに生きていい」

 ちゃんと守るから。


「シーとチアキを愛してる。二人は私のものだよ。なにも、心配するようなことはないよ?」

 囁きキスを落とす。



「約束だよ。ランバート」

「もちろん。シズメ。君の名に誓おう」


 深い緑の瞳はとても、凪いでいる。


「大好き」


 はにかむような笑顔と軽いハグ。

 それだけでもう、どうでもよかった。


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