2/7 料理部
「バレンタインが近い! 欝だ!」
「英」
「もらえる奴らばかり浮かれやがって!」
教室であがいていると宗の視線が痛い。
なんか最近、クラスの連中にもお友達認知が進んでるようで微妙だ。
「料理部からはもらえるんじゃないの?」
「村瀬先輩かぁ。部員宛に義理チョコ作ってくれそうかな。あとは、最近顔出してないけど、千秋先輩から?」
待ておれ。
千秋先輩は入れちゃいけねぇ。
「僕からもあげようか?」
「いらんわ!!」
何が悲しくて男からチョコ貰って喜ばなくっちゃいけないんだ!
可愛く首を傾げられてもいらん!
「今日はチョコレートクッキーを作るわよー♪」
麻衣子部長が腕を上げる。
「混ぜるのは手伝ってねー」
村瀬先輩の言葉に頷きながら調理室で材料を並べる。
手伝える作業を手伝いながら視線を感じる。
「部員を、探さないとまずいわ。名前だけでいいから山辺君引っ張ってこれない? すぐりん、お友達でしょ?」
「やっす」
「生意気だわ。鎮も本格参加はしてくれないだろうし、千秋は参加フリーで名前だけでもいいっていうのが最初の条件だからなぁ」
そっと見つめられる。睨まれるとも言う。
「問題は料理のできるメンバーよ!」
「今、村瀬先輩だけになってるしねー」
「栞ちゃん、早く作れるようになってね」
「先輩こそ!」
「ふふー。早川君が一番期待の星だね」
村瀬先輩がにこやかにボウルを差し出してくる。
「仲いいんでしょ?」
「妙に懐かれてるけど裏がありそうで」
「シアンちゃんだもんね」
「どう転んでもやつは性悪っすよ!」
ノワールだろうがシアンだろうがたちの悪さには変わりない。
「まぁ、類友よね」
村瀬、先輩?
にこりと笑われる。
胃が冷たいのか胸が熱いのかわからない。
「おれの性格が悪いと!?」
ふふっと小さく笑う村瀬先輩は愛らしい。
「かわいいままでいてね」
そのぐらいかなとボウルが回収される。
先輩、義理でいいんでチョコください。
「愛子、友チョコしかまかないわよ?」
部長、
「料理部やめていいですか?」
「だーめ」




