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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2014年一月
385/823

2/5 朝のできごと

「宇美。なんでこんなおじさんがいいんだ?」

「年齢じゃなく、私は戸津信弘。あなたが好きなの。きっとここから先、あなたが禿げてしまってもこの想いは変わらないの。少なくとも物心ついて十八年は間違いなく、あなたがすきだわ」

 肥満は、ちゃんと管理すれば大丈夫。

 それが自然なものならそれはそれできっとかわいい。

「だが、」

「あのね。初恋は叶わないって言うわ。でもね。恋じゃなく愛なら叶うんじゃないかって思うの。女の子は現実的でロマンチストだわ。だから、好きな人にはカッコ良く決めて欲しいの。たとえ、君を守ると言いつつ、実家では放置。それが現実でも耐えてみせるわ。尋歌ちゃんは味方になってくれそうだし、おにいさまも優しそう」

 表の鍵を開ける前の診察室でカルテや、書類を眺める先生の膝の上に座る。

 このくらいじゃ動揺ひとつしないのがにくらしい。

 もっと前からやってやればよかったって思う。

「えにし君とさわちゃん」

 洋一さんの実子とその妹。

 今は朝のウチは洋一さんとそのお母様がみている。

「ええ。そろそろお迎えに行ってくるわ。武藤さん今日は?」

「用事があるらしいよ。こっちに引越しするつもりらしいけど、元の家は売ってあるから、物件を探してる最中らしい。そーゆーの洋一は不得意だからなぁ」

「式とかはしないの?」

「ああ。再婚同士だしね。写真ぐらい家族になる記念に撮りなさいって武藤のおじさんに言われたらしいよ」

 千遥さんは明るい人だ。

 先生より少し年上で二人の娘がいる女性だ。

 上の子が四月からうろ高に通うらしい。

 えにし君とさわちゃんも千遥さんには懐いている。勢いに押され負けた感じだ。

 時々、日生さんちの妹さんとおしゃべりしているのを見かける。

 あの人も先生のことを好きなのかなと思うと苦手に思ってしまう。

 ダメだなと思う。

 もっと大人にならないと。

「行ってきますね。先生」

「ああ」

 頬に軽くキスをしてみる。

 知らない間に一度実家で会話をしたらしい。

 尋歌ちゃんがメールで教えてくれた。

 連れて行ってはもらえないらしいのが寂しい。

 私はあなたが好きでその力になりたい。

 この想いに嘘はない。

「先生」

「どうした?」

「先生から行ってらっしゃいのキスが欲しいです」

 クスリ笑って手を振る。

「行ってきますね」

 私はわがままなんですよ?

 逃がしたりはしません。

なんか。うん。

砂糖多くね?

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