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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2014年一月
374/823

ゲーム(歩み寄り)

2/2

「人間って面白いよね」

「それはそうだと思うけどねぇ」

「変な先入観は抱かずにバートにいちゃんのこと興味持ってみようかと思ってさ」

「これは?」

「コントローラー」

「そうだねぇ」

「日本の文化だよ? レッツプレイ落ちゲー♪」

「ルールは?」

「落下口が詰まらなけりゃいいのさー」

「君は回転とかさせてないかい?」

「え? 向変え無し縛り? りょーかい!」

 唐突な話題を振りつつ、ゲームのコントローラーを手渡し、ランバート兄ちゃんとゲーム部屋へ行く。


 ランバート兄ちゃんのことは、

 はっきり言って苦手だ。

 でも、涼維が怒った理由を考えて、納得してもいる。

 涼維にも鎮兄にも、千秋兄にもさーやおばさんにもそれこそ、それぞれのやり方で怒られているネタだから。

 アレはランバート兄ちゃんの叱り方、理解させ方。

 一緒に過ごして、一月もたたない内に踏み込む気になったのはある意味すごいと思う。

 俺達に拒絶されることぐらい気にしていないからかも知れない。

 どういう理由で踏み込んできたんだとしても、そこから受ける影響がマイナスではなくプラスならば、できれば相手にも何か返すべきなんじゃないかと思う。

 そして、ランバート兄ちゃんのことを知るのは従兄妹かぞくを知ることに繋がる。

 本人達に追及する気になれないのは今の関係を壊したくないから。

 コワイ、ことなんだと気がついたから。



「それでさぁ、やりながら話をさ」

「黙って! ようやくルールが納得できてきた!」

「だからハンデつけてもいいって」

「NO! 情けはいらない。対等にいこう」

 会話はなかなか始まらなかった。

 でも対戦ゲームって性格出るよね。

 ハンデはイラナイって言ってさ、未知のゲーム(説明なし)のコントローラー渡されて説明書も見ずにレッツプレイに付き合ってくれて、はっきり言って『経験』って言う名のハンデがあるって言うのに、こっちが少し手を抜いたら怒るんだ。つーか気がつくなよ。

 すでに対等じゃねーんだよ。



「とりあえず、思ったより兄貴ーずの性格があんたの影響下なのは何と無くわかったよ」

 くるくる積み上げながらしみじみと言ってしまう。

 あの負けず嫌いさは千秋兄と通じるところがある。

 付き合いの良さは鎮兄。自分の意思を優先しているんだというスタイルは芹香。

 つまり、弟妹に見本として影響を受けてもいいと思わせれる『兄』である。

「そう、なのかい? あ。そうくる? 回避して見せるよ!!」

「元々、パターンが違うとはいえ、結構三人とも似てるんだよねー。根っこと表面は違いそうなんだけど、相手を守りたいんだよ。兄貴達も、芹香も。で、その時に切り捨てても大丈夫な存在に自分を置くんだ。俺もそーゆーのわからなくもないからさ。あ。六勝目ー♪」

「君は、面倒な子だね」

「隆維だよ。隆維」

「隆維」

 名前を呼べと強要し、コンテニューを押させる。

 プレイの再開の音共に会話を続けていく。

「涼維って運動能力イマイチっぽいだろ?」

「ああ、チアキといい感じくらいかな?」

「ちゃんと伸ばせば鎮兄とイイセンいくと思うんだ」

「……人間、向き不向きと初期スペックと限界値ってあると思うねぇ」

 ざっくり切ってくる。

 失礼な!

 涼維のスペックは高いんだぞ!

 ……どっちかっていうと考えるのは苦手っぽいんだけどさ。

「人のマジの限界値ってさ、ブレーキの先にあるんだよね。俺はそのブレーキが壊れてたから、涼維がブレーキだったんだよ。他人の身体限界を見極めるブレーキやれるんだぜ? 涼維かっこいい」

「のろけ?」

「えへへー。正しい共依存だよぉ」

「ふぅん」

「だから、本来涼維は一人で立って進める。未来って空は大きく広がっていて好きなところに飛べる。俺がいなければ立てないなんてことはないんだから」

 憧れる。そんな心がないわけではないけれど、今は足場を確かめるのに精一杯。先は見えない。

「面白い意見だね。でもね、人は他人ひとのために力を伸ばすのがいいんだよ? そして還る拠り所のない鳥は墜落死の先が待つんだ。休むことなく進める生き物はいないから」

 くるくる積み上がる五色の物体。開いてるスペースは落下口の下四マス。

「バートにいちゃんの拠り所は?」

「さぁ。時々コレかなっと思って留まってみても今のところ違うみたいだからね」

 そこそこ慣れてきた手順で連鎖の準備を組んでいる。アレだといって三連鎖か。

「やっぱりさ、ヒトって周りに影響を受けて育つんだ。気がついてる? うちのとーさんはね、手を伸ばせないんだ。心配して愛しててもだからこそ手を伸ばせない。おばさんもそう。それぞれの形の愛だからうまく満足できないんだ。もっとって欲しがってしまうから。満たされたい場所に注がれるとは限らないから。わかってても受け入れるのは難しいよね」

「……伸ばされない手に気がつけと言うのも理不尽だと思うけどねぇ」

 それはそうだけどさ、世の中納得いくことだけで回るって思えるほど夢見がちにもなれないんだよね。よし埋まらず、望みの色が来た!

「あ。大連鎖~♪ 何連鎖行くかな~」

「なに?!」

「ふふん♪ 諦めちゃえ!」

「ギリギリまで足掻くとも!」



 結論。

 付き合いにくい相手ではない。

「完っ勝!」

「く。いつかリベンジ!」


「あにい達に恋人ができることってバート兄ちゃんはどう考えるの?」

「ん?」

 コントローラを置きながら少し思案するふう。

「傷つかないといいなと思うよ。どうせうまくいかないと思うんだ。普通の相手とならなおのこと付き合えないと思うよ?」


隆維による涼維惚気。

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