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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2014年一月
368/823

泉琉空もの思う。

 ぼくが二校目の定時制に通うようになって一週間が過ぎた。

 授業は基本型通りに進められてゆく。

 気がつくと合う人同士で固まってグループができる。

 日生飛鳥ちゃんは「普通」と言いつつ、金居瑞穂ちゃんと仲がいい。

 当の金居さんはチャラい感じの有坂君にベッタリだ。あと、誰に対しても軽く明るい対応をする。

 ぼくのことだって気遣って構ってくれる。

 困ってる時に助けてくれるのは本宮さんと吉川さん。大人って感じの気遣いな気がする。

 ただ、本宮さんの小指が短い気がするのはきっと事故かなにかだよね?

 そして、最年少枠の葦原君と津田さん。

 葦原君は合格通知がなくなってしまうというトラブルに巻き込まれて、それとなく大変だったんじゃないかなと思う。

 津田さんは編入組らしいがどうしてわざわざ定時にしたのかがわからない。

 瀬尾さんが言うように「お父さんと一緒が良かった」んだろうか?

 でも、お父さんってうざくないかなぁ?

 それでもまぁ無難に付き合っていけそうなメンバーだ。

 そして少し怖い気がするのが広前さん。

 付き合いは悪く、素っ気ない。それでも風峰(弟)さんとはちょこちょこ談笑している。

 どうやって人を介さずに生活資金を稼ぐか。がテーマだったらしい。

 ポイントや懸賞サイトでそんなに稼げるんだろうか?

 ぼくは親のすねかじりだ。

 あの二人の会話はわからない。

 そして瀬尾さん。かれはそんざいがよくわからない!

 突拍子もない動きに言動。おとなしく本を読んでたぼくに紐を握らせた。

 ドアが開いて紐がシュルシュル引っ張られて、先生の上に黒板消しが落ちた。

 ぼくは泣きそうだった。

 沈黙の中、粉をはたく音が響く。


「うわー。すっごくうまくいったよねぇ♪」


 場の空気を解さない自由な言葉。

 それを聞いてぼくはますます下を向く。


 クスリ


 誰かが笑をこぼす。

「やだぁ。せっちゃんったら仕込みうますぎー」

 楽しそうに笑う金居さん。

「えへー。うまくいったー」

 嬉しそうな瀬尾さん。

 ぼくはより泣きたくなる。

 先生は軽く瀬尾さんを注意してから授業に入る。瀬尾さんには注意しにくいらしい。

 休み時間に瀬尾さんが「楽しかったねぇ」と言ってきたと思ったら、「ジジイいい加減にしとけよ」と有坂君が庇ってくれた。有坂君は意外に面倒見がいい。チャラい不良っぽいのに。

「えー。イイカンジの仕上がりだったよねぇ。あの頭にズレもなくジャストだよー」

 クスリと周りから笑いがもれる。

 こういうのってどうして思い出した時の方がクルものがあるんだろう?

 ぼくもツイ笑ってしまう。

「へへ〜。女の子は笑ってた方がいいよー。お得ーお得ー」

 そのためにあんなことをしたのかと思いかけて訂正する。

 きっと、面白そうと思ったからやったんだと思う。

 広前さんと日生さんは職場が同じらしく、

「もしかしたらもうじき繁忙期に入るかも」

「ああ、決算前の駆け込み需要だな。あと、増税の影響もあるか」

「だよねー。じゃあ四月からは少しゆとり?」

「ありがたくはないな」

「んー海外出荷が多すぎても困るー」

「ないよりはいいだろう。贅沢を言うな」

 なんだか、大人な会話な気がする。

 日生さんは出席が落ちることを気にして、広前さんは残業代に期待してる。

「十一時まで残業とかどんとこいだな!」

「ふざけんな!!」

 楽しそうな広前さんに日生さんは怒鳴っていた。

葦原君

津田舞さん

借りてます

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