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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2014年一月
366/823

1/16 放課後2

「ちーっす。定時の事務員でーす。清水先生には昨年度中お世話になりましたー」

 怪訝そうなバートの視線。そう、入試という名の受験生学力チェック。年末に定時制の初期授業をどういうものにすれば生徒に向いているかの会議に参加してもらったのだ。

 実際、小学生問題でも出来てない者から普通にパーフェクトに近いものまでいるので低い方をどうするかという感じだ。


 俺は会議中小学校の先生たちのお子さんたちと遊んでたけどな!

 後で上司に殴られたけど。

 言いつけ通り子供達を退屈させないように遊んでたのにひどい。

 ちょっと『秘密(ヤク)の花園』の写真や『(ブキ)秘密結社(ヤミトリヒキ)』の証拠写真を誤魔化してただけなのに。


 ◆



 そう、あれは12月クリスマスも終わって自宅ごとで忙しくなる頃だった。


「採点協力ありがとうございます」

 椹木が小中高から学力判断協力と採点協力の先生方に挨拶している。


 え?

 俺は、十分前に会長から渡された写真付き資料に夢中なので棚の陰に隠れている。

 実際、公的な場には会長か、椹木が出席していたので問題はない。


 と、思ってたら、会長がちんまい子達を連れてやってきた。

「みかちゃん、かなちゃん。えにしくん、さわちゃん。このおじさんが遊んでくれるからね。おとうさん、おかあさんのお仕事が終わるのを待っていようね」


 は?

 しかも後半二人の反応が微妙でなかった?


「あ、あの、かいちょー?」

「仕事しろ」

 会長がくれた、

「資料読み……」

「プライベートの奴だよな?」


 くぅっ

 会長が無体だ。


「おしゃしんー?」

「そうそう。おしゃしーん。これは遺跡の壁画で発見された……。おとぎの国に繋がるゲートだ!」

「すごーぉーい」

「ぇ?」


 よし!

 掴みはオーケー。小さな声は黙殺!


 採点エリアから何かむせる声が聞こえたが気のせいだろう。


「世界に危機が訪れた時、絆のあるおとぎの世界にも危機が訪れ協力を求めるおとぎの使者がこの扉をくぐると言う約束のゲートだ。君たちはおとぎの国の使者を助けられるか!?」


「たすける!」

「たすけぅ」

「たしゅけ?」

「……」


 ほかに面白い資料写真あったかなー。

「お花畑ー」

「きれー」

「わぁ」

「んー。きれいだけどこのお花咲いてるの見たら近づいちゃダメだよー。おとぎの使者さんとのお約束なんだよー」

 芥子の花畑はダメだよなー。

「このおしゃしんはー?」

「破壊の大魔王ミツゾーンの秘密工場だー」

 ってこの辺の写真はNGにもほどがあるな。


 マザーグースの読み聞かせでもすっか?


 本や安全な写真を披露しつつ、あることないこと膨らませて喋る。

 気がついたら女の子三人は寝ていた。

「おにいちゃんはどーしたぁ?」

「おじさん、うそつきでしょ?」

 それだけ言ってぷいっとそっぽをむくえにしくん。


 おじさん、さびしい。

「ふっふっふ。世の中は思いもかけぬもので満ち溢れてる。常識になんか囚われていては成功しないぞー」


 この言葉にえにしくんがちらりとこっちを見る。


 お?

 少し興味を引けたかな?


「常識知らずは排除だ! 妙なことを教えてるんじゃない!」

「会長。お姫様方が起きちゃうんでテンション下げてー血圧下げてー。すってーはいてーとめてーはいてーとめてー」


 殴られたんだよな。あの後。『窒息させる気か』って。


 あの時、相談会の席に清水先生も来てたからな。


 ◆◇


 今回は

「学生さんの職業斡旋についてだったよなー。よろしくっすー」

 わざとらしくバートがため息をつく。

「そうだけど、キミが関わったらマニュアルが作れなさげでね」

「いやいや、マニュアル通りに行かないのが世の中ってもんだって! いろんな状況を体験しなくっちゃあねぇ、清水先生♪」

「引き継ぎを考えず、ずっと面倒見る訳にはいかないんだからマニュアルは必要。そう思いますよね?」


 おや?

 清水先生モテモテ?


「清水先生」

「あ、はい」

 考え込んでたらしい清水先生が反射的に返事を返す。

「どっちの求愛を受け取られるんですか?!」






 その後のことはひ・み・つ。




 結局は折衷案マニュアルについてはでうまくまとまる事になった。

 ご苦労かけます。清水先生。


「日本のバレンタインイベントに乗っかったらチョコぐらい受け取ってくれるかなぁ」

「やめとけー。相手は新婚だー」

 本気になれないくせに人恋しくなるのはバートの悪いクセだ。

「そーだね。シーとチアキとテ、……セリカ。それに学校を潰そうと画策するバカに情熱をかける事にするよ」

「別にそこまで考えてないと思うぞー」

「考えのない行動の結果が問題なんだよねー」

 あきれたような口調と軽いオーバーアクション。

 確かに不祥事で廃校は困る。

「で、」

 促すとマニュアルの草案をポンとこちらに寄越してくる。

「まとめてからコピーして渡すわ。録音しとく?」

「ん。よろしく。できるだけ早く覚えるよ」

「生徒の名前は覚えたんだろう?」

「漢字での形はね。新しい言葉は、難しいよ」

 まぁ書き文字って難しいよな。


清水先生

果菜ちゃんと美果ちゃん

おかりしました。

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