1/22 放課後の調理室
月刊、うろNOW!
1月22日 彼女のターニングポイントとリンク。
澤鐘さんが器用にジェルという科学を活用したスイーツを作り上げていく。
面白い工程だと思う。
彼女はパティシエよりも自らが憧れたライターを目指すかのように記者としての道を選びつつ、料理に対する心も失わずにいるのだろう。
ただ、僕にはわからない。
わかっているのは料理は趣味に収めるべきものということ。
これは料理をはじめた当初からほぼ変わらない。
料理は好きだし、凝った作業も新しい工夫も好きだ。
それでも。多分、進むとしたならば 料理とはあまり関係のない、もしくは関連の薄い職業を選ぶ。
一時、手をかけようかと思ったことがないわけじゃない。
本当に笑顔を見たくて作った料理。
ただ、綺麗に作りたいだけじゃなくて、その笑顔を見たくて彼女の笑顔だけが見たくて作った料理。
彼女が食べる分以外はあくまで習作だから、やっぱりプロにはなれないんだけど。
一番、料理に真摯に向かい合ったのはあの時だと思う。
一つ言うならば、『子供だから』とは思わない。
そこに入れれる言葉は『趣味だから』であり、その道を歩くことは冗談の会話以外で本気で考慮したことはない。
だけど、他人からの指摘は痛いなぁ。
思考が沈む。
僕はまだ進みたくない。
見据えるべき未来なんか見たいと思えない。
今まで見えていた未来が揺らいだ今年の夏。
増えた知り得た情報は先を変えるのに役立つものはない。
それでも。
変われるかと思った。
彼女がいれば。彼女となら。
笑顔を見せてくれるだけでもいい。
見てるだけでもいいから。
でも、かわらない。変われない。
すべてを置き去りに変わらぬまま流れていく。
どうせ何も変わらない。
じゃあ。
やめよう。
きっと、それがいい。
一口食べた不思議なスイーツ。
甘いはずのソレ。
「……あれ? 甘いはずなのに、なんだかしょっぱいや」
感じない味。
ただ心が冷える。
何も感じなくなればいい。
澤鐘さんお借りいたしました。




