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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2014年一月
347/823

1/1 夕食後 隆維

「晩御飯どきにも帰ってこないとは千秋兄なにしてんだろ?」

「連絡は入ってるみたいだよ?」

 涼維と雑談しつつ、墨をする。

「まぁ指定の言葉でいいよなー。習字の課題とかってマジめんちぃ」

 墨をするとかってめんちぃよ。

「今年の抱負とかは?」

「んー。家庭内平和と幸福追求?」

「え? 幸せじゃない、の?」

「幸せだと思ってるよ? 涼維いるしさ。みあものあもいるし。最近は空ねぇのおかげで鎮兄にも変化があった気がするし、雪姫ねぇちゃんも夏場より元気そうだしさ。あれ? 実は夏バテだった?」

「知らないよ」

 調子を崩してから涼維がどこか反抗的になった。

 あと、他に関心を向けたときにやきもちが以前よりきついような気がする。

 なんでだろう?

「涼維がさ、一番なのはかわんねーからさ。変な心配しなくていいよ。明日さ。俺が熱とか出さなかったらどっか遊びに行こうぜ?」

「寒いからウチん中がいい」

「そぉ? じゃあお菓子でも作る? ビターチョコのクッキーとかさ。時計の残りで遊ぶのはイヤだろ?」

「気の早いバレンタイン?」

 時計の話で嫌そうに表情が歪む。そしてそのまま話題はクッキー。

高橋先生(はっしー)ビターチョコ好きなんだって。クッキーならそんなに難しいことないだろ? 何回かやっていいのができたらお礼にしようかと思ってさー」

 裏結婚式前に清水先生に面白い情報を知らないかと聞かれたから、交換条件に好むものを聞いたんだよね。

 終業式の日に一応お礼メッセージ込みのクリスマスカードは渡したけどさ。やっぱり受け取りやすい贈り物は消え物だよね。

 清水先生はあの程度のネタで喜んでくれたし、まぁ稲荷山先輩にはダメージきつかったぽいけどさ。

 ちゃんと突っ込まなかったよ? 「おふざけじゃなくて(他意のない)純粋な好意だよ」なんて。

 誤解をかき混ぜるのは楽しそうだったけどちゃんと我慢した。俺偉い。

「年上好み?」

「ぁん?」

「だってさ。ビーチバレーの時だって平気そうで……」

 思い出したのか羞恥に染めて俯く。

「ん〜、絶対領域とかバランスとかはスッゲー狙ってた格好だったよなー。白スクってな〜」

「平気なんだなって思って」

「膨れるなよ。魅力的だなとは思ったよ? あと、天音の胸はまだまだ未成熟だったなとかさ。あ、そんなに赤くならなくても」

 課題の書初めを完成させる。

 集中を乱した涼維は何度かやり直していた。


 でもさ、たぶん、俺の情緒的な部分は小さな時にある程度止まっていて、涼維と同じように感じれないだけなんじゃないかって思うんだ。

 情報収集や知識的な成長はしていても周囲から浮かない反応ははじめは涼維から模倣し、次に鎮兄や千秋兄から適当に選んできたから。

 俺はまだ涼維のところまでついてないんだよね。

 ただ、これは言ったらなんか涼維によくないような予感がするから内緒。

「ねぇ涼維」

「なぁに?」

「急いだほうがイイ?」

「ゆっくりでいいよ。焦ったって失敗するじゃん」

「そう?」

「墨汁こぼれたら後片付け大変じゃないか!」



「うん。そうだね。オチゲーか格ゲーやろーよ」

高橋先生

清水先生

稲荷山君

雪姫ちゃん

話題にお借りしました。

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