1/1 リア充め
「あーみぃ。あれムカつく」
視線の先は空と鎮。
「ヒロちゃんとうまくいかない状況でナオズミの鼻の下伸ばした惚気とか、鎮ちゃんの空とのゲロ甘空気とか耐えられなーい」
渡された飲み物を口にしながらそっと空の動きを追ってるさまがムカつく。
空がやんわりと見守る姿はその気性から納得だ。
生温く笑ってる海の様子を見ると応援してるのかなとは思うけどさ。
「ヒロちゃんと宇美がいっそうまくいってたら諦めもつくのになー」
「ねーだろぉ」
「うん。ドサクサ酔った勢いからの愛人でもいけるように側にいられる条件は学習中さ。それにおばさんが側に住んでると言ってもおじーちゃんの事も心配だしねーペット葬儀社はあたしが引き継ぐのだ!」
温かい飲み物を飲みながら、汐ちゃんにじゃれて抱きついてる芹香ちゃんを見る。
少し千秋を責めた後は退治方法を汐ちゃんに相談している。表面的な切り替えの速さはさすが兄妹だと思う。
切り替えのきっかけが見つからず、ずるずる中途半端な甘い空気を醸す二人はあえて見ない。
腹括るんならとっとと腹くくれやって思う。
目の前でヒロちゃんの唇を無邪気に奪われた恨みはあるけどいかんせん、弟分なのも事実だ。
奴は当時子供だったのだ。もちろん、あたしも。
年の変わり、深夜零時。
人気の少ない場所で、あっても二人の世界に浸っているカップルばかりでちょっと居心地が悪い中、潮風を浴びている中見た怪人のシルエット。
歌いおさめが潰れたブーイングと、その隙間に混ざる人混みからのお姫様抱っこ攫いへのシュチュエーション萌えの吐息。
ロリガラスとセイレーンはマジねぇという呟き。
ふらり身を崩す空を抱きとめ、シルエットがひとつになる。
うまく、いくんならうまくいけばいいと思う。
でも、
「あの家の連中めんどくさいからなー」
大人しく鎮と芹香ちゃんの様子を眺めてるその兄。
きっとこいつもめんどくさい。そんな匂いがする。
「着信拒否してきた制裁がまだなんだよねー。ちょっと、セクハラしてやっただけなのに逃げ回りやがって失礼だよね?」
フツーならご褒美でしょ。
青空海ちゃん空ちゃん汐ちゃんお借りしました。
高原直澄君お名前借りました。




