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URONA・あ・らかると  作者: とにあ
2014年一月
324/823

12/26 いいのかな

キラキラを探して〜うろな町散歩〜

12/25 今は、ただ…と軽くリンク


 潮の匂いと波の音。

 寒いはずなのにどちらかというと暑い。


 空ねぇとはじめて会ったうろなのビーチ。


 あの頃はまだ千秋とべったりで……。

 ……千秋にウザがられてたな……。

 日本語の使えるレベルの問題でつるんでくれてただけだったもんなー。

 俺と千秋じゃ元々行動範囲が違ってたから。

 好む傾向は近いのにアプローチが違うと兄ちゃん達は言ってたな。


 波の音。

 月は半欠け。

 薄闇にちらつく白。


 アレは八年。もうじき九年前になるのかと思うと不思議だ。


 同じものが返ることのない波の音。


 ひとつ吐く息が白い。それは冬だから。


「俺が好きでいいのかな」

 好きだと伝えてよかったのかな?


 ぐるりと思考が回る。


「いいんじゃないかしら」


 ひらりと翻る暗い紫の布。

「貰ったモノ、落としちゃダメよ?」

 目を閉じて息を吐く。

 くすくす小さな笑い声。

「あまり、濡れると風邪をひいてしまうわ。もう、お家に帰りなさいな」

 サラリと髪を払われる。



「いいのかなぁ」


 おじさんに連れられて来た夏のうろなの海。

 おじさんは太陽さんに『ろくに連絡もない』って怒られて、おじさんは気にしたふうもなく謝って。叱られている様子に自分のことのようにおろおろしてた女の子。

 それが空ねぇだった。




「……すき……」

 耳元で囁かれた言葉。


「千秋君? シィちゃん?」

 どちらか判別が難しいふうだった小五の夏。その前のはじめてあった時の一人称は『シィ』だったから。


 あの頃は頑張って『お兄ちゃん』しようとしてて。

『おれは、鎮だよ』って言って、背伸びしてたと思う。

 呼び方も『そらおねーちゃん』から『空ねぇ』に。

「しずめくん」

 傾げてた頭をもどしてふぅわりとした笑顔。

 あの年頃の二つ差って大きいと思う。


 夏の日差しを跳ね返す白の波頭。



 赤いもみじが黒い髪に絡まる。


 暗い夜の波の音とちらつく白い欠片。

 転びかけて恥ずかしそうに染まった顔を見せまいと俯くその表情を覗き込んで。


 腕の中に捕まえる。


挿絵(By みてみん)


 夏と冬が交錯する。


 今はどっち?




「懐かしすぎ」


 やわらかな感触に目を開ける。

 いつもと匂いが違う朝。

 朝?

 うん。たぶん朝。





 ここ、どこ?



 誰かのトコに泊まりにいってたっけ?


 暖かな部屋。やわらかな重み。


 重みに視線を下げる。


「え?」




空ちゃんお借りしてます。

 夢から覚めれば「!!?」ですね。

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