表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
322/823

12/25 告白

クリスマスデート★伝えたくて

とリンク+後話

 ホテルの裏口まで送って、帰ろうと歩き出す。

 微かに積もった雪が潮風に煽られて足元で踊る。

 名前で呼び止められた気がして、振り返ったら空ねぇがいて。走ってる?


 直接手渡されたクリスマスプレゼント。

 それが嬉しくて、開けていいかと聞いてしまって戸惑わせたことに後悔する。


 空ちゃんが何か言おうとしてるのに気がついて意識を向ける。


 意識の何処かで警告が聞こえる。


『ダメだ』


 それなのに最後まで言ってもらうのはダメなのに止められない。


 肩にもたれられる重みに、髪の香りに揺らぎそうになる。


 ダメなのに止められない。


 フェアじゃないと思う。


 ダメなのにダメなのに。


 俺じゃダメなのに。



「……すき……」



 力が入る。

 その言葉はすごく嬉しくてこわい。

 すっごっく緊張して言ってくれたのがわかる。


 そっとあげてもらった表情は何とも言えず愛おしくて、衝動的に唇を重ねる。


 その自分の行動に頭が冷える。


「空ねぇ、俺はダメだよ。俺じゃきっとダメだよ。俺は俺が誰かを幸せにできると思えない。いつか、空を傷つけるかもしれない。俺の父親は強姦殺人で収監されても反省しなかったような人間で、たくさんの人を傷つけて、俺はその遺伝子を受けてて、空ちゃんみたいにきれいじゃないんだ……」


 泣きたくなる。

 母さんだって結局俺と父親を重ねることは多い。父親が同じ兄も俺と父親が似てると教えてくれた。

 人の人生を狂わせることが得意だった父。

 その遺伝が怖い。

 女性を傷つけるのが怖い。

 触れるのが怖い。

 ちゃんと、距離を取るべきだった。

 好きだからそばにいたいなんて思うべきじゃなかった。


「鎮くんがいいの……。ゆっくりでいいの……。そばにいたいの……。だめ?」


 囁かれる声、その温もりに溺れそうになる。


「傷つけるかも知れない」


 罪を重ねた父親のように。


「大丈夫。そんなことしないよ」


 いいのかなって思いそうになる。ダメに決まってるのに。


 空ちゃんの言葉はひどく甘い誘惑。


「なんでそんなに自信満々なのさ」

「鎮君を知ってるからだよ」


 くすりと笑いと共に告げられる言葉に息が詰まりそうになる。


「だから、……泣かないで」

 腕の中で感じる背伸び頬にかする温かさ。

 より強く抱きしめてごまかす。



 ダメなんだ。本当はダメなんだ。



 それでも、

「俺も、空のこと好きだ」




空ちゃんお借りしましたっ



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ