12/25 告白
クリスマスデート★伝えたくて
とリンク+後話
ホテルの裏口まで送って、帰ろうと歩き出す。
微かに積もった雪が潮風に煽られて足元で踊る。
名前で呼び止められた気がして、振り返ったら空ねぇがいて。走ってる?
直接手渡されたクリスマスプレゼント。
それが嬉しくて、開けていいかと聞いてしまって戸惑わせたことに後悔する。
空ちゃんが何か言おうとしてるのに気がついて意識を向ける。
意識の何処かで警告が聞こえる。
『ダメだ』
それなのに最後まで言ってもらうのはダメなのに止められない。
肩にもたれられる重みに、髪の香りに揺らぎそうになる。
ダメなのに止められない。
フェアじゃないと思う。
ダメなのにダメなのに。
俺じゃダメなのに。
「……すき……」
力が入る。
その言葉はすごく嬉しくてこわい。
すっごっく緊張して言ってくれたのがわかる。
そっとあげてもらった表情は何とも言えず愛おしくて、衝動的に唇を重ねる。
その自分の行動に頭が冷える。
「空ねぇ、俺はダメだよ。俺じゃきっとダメだよ。俺は俺が誰かを幸せにできると思えない。いつか、空を傷つけるかもしれない。俺の父親は強姦殺人で収監されても反省しなかったような人間で、たくさんの人を傷つけて、俺はその遺伝子を受けてて、空ちゃんみたいにきれいじゃないんだ……」
泣きたくなる。
母さんだって結局俺と父親を重ねることは多い。父親が同じ兄も俺と父親が似てると教えてくれた。
人の人生を狂わせることが得意だった父。
その遺伝が怖い。
女性を傷つけるのが怖い。
触れるのが怖い。
ちゃんと、距離を取るべきだった。
好きだからそばにいたいなんて思うべきじゃなかった。
「鎮くんがいいの……。ゆっくりでいいの……。そばにいたいの……。だめ?」
囁かれる声、その温もりに溺れそうになる。
「傷つけるかも知れない」
罪を重ねた父親のように。
「大丈夫。そんなことしないよ」
いいのかなって思いそうになる。ダメに決まってるのに。
空ちゃんの言葉はひどく甘い誘惑。
「なんでそんなに自信満々なのさ」
「鎮君を知ってるからだよ」
くすりと笑いと共に告げられる言葉に息が詰まりそうになる。
「だから、……泣かないで」
腕の中で感じる背伸び頬にかする温かさ。
より強く抱きしめてごまかす。
ダメなんだ。本当はダメなんだ。
それでも、
「俺も、空のこと好きだ」
空ちゃんお借りしましたっ




