12/25 クリスマスの日
女と一緒に歓談している義弟をロックオン。
ちびっこを避けて近づく。
八年、ほぼ九年ぶりだろうか?
随分と背が伸びたなぁと思う。
パーティの席で普通に談笑してる姿に成長を感じる。
抱きしめる前に視線が合う。
深く暗い色合いの瞳がきょとりとした。
抱きしめても、抵抗はない。
そのまま軽く口を塞ぐ。
この一連の流れは義弟が小さな頃から疑問を抱かないように日常的に教えた。
ばれた時もう片方が怒り狂ったけど。
こういうところは変わってなくて嬉しい。
言葉を交わそう思ったところを妹に引っ張られる。
あ、妹の兄って紹介されてる。
おにーちゃん扱いしてくれないといたずらしちゃうぞ。
テスは男兄弟ばかりで唯一の妹。
女は好きじゃないが、妹は特別。
恋愛相談とかも十分五ドルで引き受けてくれる。
声が聞きたいから時差を考慮に入れてなくても気にならない。
怒りっぽい義弟も抱きしめておく。
似合わない大人しい感じの拒否。
何やってんの? チアキ?
ぎゅーっと力を込めたら、
「やめろっつってんだろ!」
いつもの元気が出た。
チアキはこうでなくっちゃ。
グリフ兄が扮したサンタのまま、車に戻る。
妹と遊園地に遊びに行くのだ。
テスはもらったプレゼントを一つ持ち込んでいた。
機嫌よくお着替えスタート。
ゲイルがその瞬間にロブに目隠しし、抑え込んだ。
着替え終わった衣装は悪の組織の女実行部隊長。
うん。カワイイよ。
「グリフ兄! 役場寄ってね!」
「ああ、ドライバーの人にお願いしてあるよ」
嬉しそうに『やくばのたっきー』と書かれたタグをそれ用のプレゼントに結びつける。
役場に着いた途端、グリフ兄を引っ張って外に飛び出す妹。
「あ! 町長さんだ。メリークリスマス」
「メリークリスマス。占拠しに来たのかな?」
「残念! 今日はサンタのプレゼント配送の手伝いだわ! 機会があれば侵略しちゃう」
その間、当のサンタは寄ってきた相手に小さなお菓子(市販品)を配りつつ、「メリークリスマス」を繰り返していた。
結構好きなタイプだなと車内から観察。
テスが背伸びして町長さんが少し屈む。
耳元に何か囁いてからサンタの袋を彼に引き渡していた。
「あとねー。こっちはゴローちゃんにだよー」
「ありがとうね」
ニコニコ撫でられてテスが満足げに胸をそらす。
「ふふん。じゃあ、私には次の目的地へ行く用事があるから行くわ!」
町長さんと兄は軽く挨拶しあってから車に帰ってきた。
「たっきーにおとなのえほん。てるみんちゃんに魔女帽で。あとはお菓子詰め合わせ」
歌うように言う。
「幸せのチケットになればいいな。おにーちゃんたち、おとなのえほんってどんなものなの? ワカンなかったから任せちゃったけど?」
グリフ兄が『宗教画集』詰めてたから適当なページごとに水着美女(一部トップレス)写真を挟んどいたかなぁ。
「大人になったらわかるとも」
兄さんが和やかな微笑とともにそう告げた。
その後、役場で説教へのチケットになってたとか、幸せへのチケットになってたとか、それははっきりしない。
町長さんお借りしました。
ゴローちゃん、内村さん
空ちゃん。
佐々木達也さん
ちらりとお名前おかりしておりますー




