12/25 旧水族館のクリスマス サンタが増えた。
目の前で白いおひげ赤い帽子。これぞ定番! なサンタが渚ねぇにプレゼントを差し出していた。
『メリークリスマス。ナギサ』
『HO! HO! HO!』
そんな笑い声と共にゆっくり現れたサンタクロースにプレゼントを見つけたり、おやつを食べに来た子供(一部保護者)が注目する。
駆け寄る子供たちを撫でながら、ゆっくりとツリーそばまで進み、
『日本の良い子達。コンニチハ』
微妙になれていない感じの日本語で挨拶をした。
子供たちの返した挨拶に満足そうに頷いて
『メリークリスマス』
そう言ったサンタに合わせて子供たちも返す。
黒サンタよりは盛り上がるよな。実際。生サンタは。
『おぅ! わが娘よ。いつもありがとう』
そう言ってリズサンタを軽くハグするサンタ。
「パパ、私頑張ってるっスよ!」
打ち合わせがあったのか、アドリブなのか、ノリがイイ。
リズサンタが生サンタの袋をツリーそばに運ぶ。
袋からひとつプレゼントを取り出した生サンタが懐から小さな眼鏡を取り出して何かを確認する。
そして周囲をくるりと見回し、渚ねぇを見てニコリ。いや、ひげと眉毛でわかりにくいんだけど、にこりと笑った。
そして渚ねぇの前にやってきて
『メリークリスマス。ナギサ』
プレゼントを差し出した。
俺は涼維と貰ったパズルをいじりながらソレを眺めていた。
自分のところにまずくるとは思ってなかったのか、ぽかんとした渚ねぇの表情はちょっと面白かった。
ただ視界の端で芹香がドヤ顔してたからネタはわかった気がするけど。
その後は小さい子中心に三十分ほどプレゼントを配ったり、写真会っぽくなったりと賑やかにやった後、(合間に千秋兄や鎮兄とも喋ってた)白い袋を置いて
『さぁ、次に行かなくてはならない。娘よ。後は任せたよ』
「任せるっス!」
『では、良い子達よ! 君たちの未来に幸運を! メリークリスマス!』
去っていった。
「テス」
ゲイルっていうのが芹香に呼びかけて、芹香が俺らや千秋兄を見上げる。
「あにぃ」
「ん?」
「遊園地行ってくるね」
じっとその視線は汐ちゃん。
もっと一緒に遊びたいんだなっと思う。
でも、ソレやると向こうの家族もかわいそうだから遊園地で遊んでやれよ。
「いってらっしゃい。たのしんでね」
鎮兄達も途中でデートに出かけたしな。
見送ってから、渚ねぇに向き直る。すでに開封はしたらしい包みをそわそわと見つめていた。
「なんだったの?」
そこにあるのは何冊かの専門誌だった。
生サンタに貰った『光の剣』のスイッチを入り切りして首を傾げる。
「テクニカルマガジン?」
リズちゃんかりっぱ中。
渚ちゃん借りてます。
この途中にデートに出かけたらしいです。




