12/25 旧水族館のクリスマス
「うーん。お兄ちゃんたちと過ごすのはいーんだけど、汐ねぇとのクリスマスタイムが限られちゃうのが少し勿体無いなー」
「ありがと。セリちゃん」
「だって、汐ねぇをはじめとした青空のお家のねぇたちと冬を過ごすなんて初めてだし。うー。やっぱ勿体無いなー。お兄ちゃんたち、キャンセルしちゃおうかなぁ」
「そ、それは良くないと思うなー。何探してるの?」
「ちょっと、隠しといたブツが……」
あった!
「おばけさん?」
「冬バージョンカラスよ!」
「ぅわあ。頑張ったんだね」
「…………。うん。こういうのちょっと苦手だから上手にできなくてちょっと残念なんだけど、努力は惜しんでないわ!」
「さすが空ねぇ。ちゃんとなんであるかを分かってくれたわ。千秋兄とは大違いったらないわ」
「長さが足りないって言ってるんだよ」
「喧嘩はダメっすよー。仲良くっす」
「はーい」
「芹香、たわしをありがとう」
「マフラーだってば!」
「これは首に巻けないから認められないな」
「むぅ!」
「テスーー!!」
「あ。ゲイル」
お手製のサンタ帽をプレゼントするとニコニコ嬉しそうに「家に帰るまで被っている」と言ってくれる。
汐ねぇに甥っ子であるゲイルを紹介。
ゲイルはにこにこと「テスがお世話になってます」って言った。日本語上手だ。
「シー、元気?」
ゲイルの後からゆっくり来た男の子(十五歳)が聞いて来る。
「あれ? ロブも来たんだ」
「どうしてもって言ってねー。とりあえず夢は砕いとかないとね」
ゲイルがにこにこ説明してくれる。
『シー』っていうのはシズメって言い難いらしい。
鎮兄ならって指を差そうと思うと固まる。
ランバート兄。日本で挨拶キスはあんまり普通じゃない!
「え? シーって、え?」
「八年ぶり。ロブ」
「ち、チアキ」
「あん時も言ったと思うんだけどね。鎮は同性だよって」
「我が初恋ー!」
「ちなみに横にいるのはデート相手ね」
「NO!」
ランバート兄を連れて戻ってくると千秋兄がロブやゲイルを渚ねぇや汐ねぇに紹介していた。ロブには空ねぇのことを説明してたりもしてた。
「初恋は破れた。ね」
にこりとバート兄がロブをからかう。
失恋した仲間が増えて嬉しそうだ。
「優しくて物静かな……」
周り、自己主張が強いきつい人材多いもんね、ロブの幼馴染。
しかたないから撫でてあげようとしたら、ゲイルが止めてきた。
いいの?
「アメリカにいる下の兄なんだ」
千秋兄が渚ねぇや汐ねぇに紹介する。
バート兄が満足げに千秋兄を撫でてる。
「やめてよ。バート兄!」
「シーが『テスの』って、お兄ちゃん扱いしてくれないんだよ」
せつなげにバート兄そのまま千秋兄をハグ。
「やめろっつってんの!」
千秋兄そこまで力を込めて殴らなくても。
そう言えば、グリフ兄は?
汐ちゃん借りてます。




