12/25 クリスマスの旧水族館
東のサンタと西のサンタ?
「ふはははは。我こそは暗き夜の闇よりおとずれしブラックサンタなり!」
びくりと空気が震える。
そこには真っ黒なサンタのおじいさんがいた。
「あ。総督だー」
芹香さんが容赦なく暴く。
「いらっしゃーい」
「……うむ、しかし空気は大事だな」
黒い袋を下ろし、てきとうに椅子を引き寄せて遠巻きにしている子供たちを見回す。
そしてひとつ咳払い。
「ここに我からのプレゼントがある!」
そう言って、周囲を見回す。
子供たちの注意は軽く引けたのを確認し、満足そうに頷く。
「しかし、無条件に贈るというのではつまらない」
「つまんなくねーよ」
サンタのおじいさんの言葉にすばやくつっこみが入る。
そばにいる友達らしき男の子が「しっ! イベントなんだから邪魔しちゃダメだよ」とたしなめている。
「と、いうわけで」
「訳の説明してねーじゃん」
「ふっ! 空気だな。ほしくば勝負を挑んでくるが良い! 勝負はじゃんけんからカードゲーム、ボードゲーム、何であれ受けて立とう!」
言い切って一息。
「ついでに中身は我がホビー高原で運試しに箱買いしたカードでデッキを組んだものから、レアらしきものの詰め合わせ、あまり詰め合わせ。や、トランプや携帯ボードゲーム。だな。一部、携帯ゲームもありはするが選べれるものなら我に勝利して選び取ってみるがいい!」
セリフの途中で何人かが「あまりもの?」と突っ込むがサンタにはスルーされる。
「男の子向け?」
女の子が首を傾げて言うと、
「アクセサリー作成キットからぬいぐるみまでお嬢さん方が喜びそうなものももちろん詰めてあるとも」
黒きサンタが答える。
女の子相手には若干声が優しい。
「差別だ!」
「それがどうした!」
つっこみにも堂々としたブラックサンタはぶれない。
「さ~ぁ、どうするかね?」
「まずは、私と勝負っスよ!」
驚いて泣いてしまった子供をなだめていた赤いサンタがだぼついた袖でブラックサンタを指差す。
「ほほぅ、サンタ対決かね、それは面白い。受けて立とう!」
「負けた方がランチを取ってくるっスよ!」
「よかろう。何をもってきてもらおうかねぇ」
「小さな子を泣かした報い受けるがいいッス!」
サンタ同士のバトルが始まった。
リズちゃん、しばし借りっぱです




