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12/10 クリスマス準備。

 ぼろりと手の中で崩れるブツ。

『手伝おうか?』と聞いてくる家族達。

 自分たちが『ちょっと』ばかり器用だからって調子に乗っちゃってさっ!


 ふーんだ。


 な、内緒だもん。


 ミラがミラなのにお裁縫が上手だった。

『生活必需ギジュちゅでスもん』とか言ってて生意気。

 九九も言えないのにーー。


「果穂先生ー。バラバラになったー」

 ちゃんと望月のおばさんが付けてくれた印通りに縫ったのにー。


「あらあらぁ」

 果穂先生はお裁縫上手だ。

 担任の先生に聞くより上手な先生に聞いてみる。


「何が悪かったの?」

 見せながらつい愚痴ってしまう。

「おにーちゃん達はてつだおーかってうるさいしー。家族宛のプレゼント作り手伝ってもらうなんてないもん!」

 受け取り手に手伝って貰うなんてありえない!


 ふと、きらりとしたものが視界をよぎる。

「あ。ごっめーん。おっきい声だしちゃって、なんか久しぶりー?」

 ケイドロ大会で一緒に遊んだ双子の女の子。

 お人形さんみたいなかわいい服を着ている。

 ちょっとアンティークロリータなイメージ。

 お互いに学校には来てるけど、学年違うしねー。見かけて声かけそびれって感じ。

「そーだ。あのね、ビーチのそばにある昔水族館だった場所があるんだ。普段は一人百円の入場料がいるんだけど、二十五日はイラナイの。なぜかって言うと、二十四日の深夜にサンタさんがクリスマスプレゼントをツリーの下に置きに来てくれるから、みんながちゃんと取りにこれるようにね。きっと二人の分も届けられてると思うわ! あ。おうちに届く分とはサンタさんが違うのよ?」

 きょとりとする二人におにいちゃんに教えてもらったお話をする。

「サンタさんはたった一人でお手伝いのトナカイさん達と一緒に世界中の子供たちにプレゼントを贈るの。ソレを見ていて素敵だと思った妖精やいろんな不思議なものも『幸せ』になって欲しい人に『喜んで』欲しくてプレゼントを贈るようになったんですって。ただ、妖精さんたちは自分が貰って喜ぶものを贈るからどんなものが届くかはわからないの。だけどね、その届いたプレゼントは、『幸せになって』って想いのチケットなんだよ!」

 えっへんと胸を張る。

 視線が私のお裁縫にいったように見えてこほんと咳払いをする。

「私だってサンタさんや、妖精さんたちの真似をして、……『大好き』を届けるの」

「おねーちゃん」

「ん?」

「フェルトに血がついてる」

 え?

 やーーん。作り直しーーー!




小林果穂先生

くるみちゃん、お借りしました。

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