クリスマスデート☆モールへの道のり
微妙に気不味い心境で旧水族館を出る。
バート兄が失恋のせいとはいえ、スキンシップ激しかったからなぁ。
ピアスは芹香のをつけてるつもりだったからバート兄のピアスはつけないし。穴を増やす気は今んとこないし。
空ねぇの名前を聞いたグリフ兄はにこにこと今回のはイニシャルピアス(ついでにマグネットピアス)だから二人で分けるといいとか言ってくるし。
いい人ができたのなら連絡してくれていたら彼女用のプレゼントも持ってきたのにと耳元で囁くように怒られた。
アレは、叱られた印象だ。
「義兄さん達はいつもあんな感じなんだよなー」
バート兄の失恋電話相談で千秋と芹香が十分十ドルとか五ドルとか言ってたのは後で注意しとかないとなぁ。
空を見上げれば、あいにくの曇り空。
雪も雨も降ってないだけまだいいかな?
モールまでの道のりを散歩がてらのんびり行く。
「驚いた?」
覗き込むと
「うん。楽しくていいね」
クスクス笑う空ねぇはかわいい。
「グリフ兄はまんまサンタのカッコで登場だもんなー。レディサンタにブラックサンタ、正統派サンタってサンタ大安売り?」
総督もノリがいいよなー。
思い出したのか、空ねぇが肩を震わせる。
「誰が一番人気のサンタかって……」
「結局、リズサンタのしょーりだったもんなー」
まぁ、ブラックサンタはダメだろう。受けてはいたけど。
『私からのプレゼントが欲しくば、カードで勝負だ』なんてなぁ。
小さくてカードゲームのルールが難しい子には代行オッケーだったみたいだけどね。
並んで歩きながら、空ねぇを見る。
なんか照れ臭い気分に駆られて、
「行こう。まずチケット引き換えといてー、時間までゲーセンでも覗こうよ」
そう言って、空ねぇの手をひいて少しだけ足を早める。
十歩ぐらいで速度は戻す。
なんだろう?
振り返って少し驚いた表情の空ねぇを見る。
無防備な表情だなぁって思う。
「行こっか」
繋いだ手をそのままコートに突っ込む。
「昨日、雪、ちらついたけど、今日はどうなんだろーなぁ。ホワイトクリスマスはいいけど冷えんだよなー」
引かれるかと思った手は変わらずそこにあって。
これから見る映画の前評判やゲーセンで使う資金上限を相談しつつモールまでの道のりを行く。
一旦、ハマった場合のヤバさが何と無くばれてて、
「ゲームセンターではお財布預かるね」
と言われた。
夏の終わり海ねぇにあのわたあめメニュー、「まかない全部、俺これがイイ。自腹でもイイ」と言って「一日一個だ」と殴られて、それでも強請ったあの夏の日。
懐かしい。
いろいろどん引かれていた気がする。具体的に言うと千秋含む弟どもに。
「いやいや、わたあめじゃねーし、ゲームだし」
「うーん。ムキにならない自信はあるんだね?」
チラリと視線を送られる。
「んー。ねぇ!」
そりゃもう自信は目一杯!
「お預かり確定だね」
「だって、あとちょっととかって悔しぃしー」
笑いながら決定っと言ってくる空ねぇ。
「はいはい♪」
言い訳ると軽く流されて笑われる。
「そういえばさ、昨夜、屋上で空見てたらさー」
空ねぇが頷くのを確認して続ける。
「雪がちらつく中、空をゆく赤い影を見たんだ」
「え?」
「千秋は見そびれたらしくって信じてくんねーの」
青空空ちゃん借りっぱなしでGoです☆
天狗仮面三太話題お借りしてます。
海ネェ回想に借りました




