12/24 サマンサちゃんの……
300話らしいです☆
実際のところ、冷静な部分と感情的な部分のズレが大きい気がする。
ばふりとベットに仰向けで転がる。
天井にわずかに開いた隙間。
サマンサちゃんの通路だ。
抜け出して、野犬にヤられたと聞いて、うっそでーっと思った。
こういう時、よく来てくれてたんだなと今更ながら思う。
サマンサちゃんの行動を妨げないようにクローゼットとサイドテーブル替わりの移動式収納。それとデスクの引き出し。部屋の中で表に出てるのは寝具と本ぐらい。
天井の通路からひょこりと顔を出すことがないのかと思うと寂しくも思う。
シアちゃんには嫌われているのかして寄ってこない。
そー言えばみあとのあがシアちゃんの額にキラキラを貼り付けて、おじさんに叱られてたなぁ。
息を吐いて起き上がる。
向かうのは屋上。
ヒラリと舞う白い一片。
「雪、かぁ」
「んー。冷えるわけだよねぇ」
千秋がいた。
ふわりと鼻腔をくすぐるタバコの臭い。
つい手が出た。
「いってぇ」
「千秋が悪いんだ」
「煙、見てただけだよ」
潰されたタバコを見下ろす。
吸ってたわけじゃないという主張。
多分、それは本当なんだろうけどと思う。
「火遊びもダメだって」
一番酷い落ち込み時期は脱してるんだとは思うけれど、感情の揺れと言うか、ブレは大きい。
「ねぇ」
「ん?」
「波織ちゃんさ、俺らが大阪の家からこっちに来て間なしで彼氏と結婚したんだよな?」
「そう、おじさんが言ってたな」
「そっから連絡ないよな。飛鳥ちゃんに聞いてみようかと思ってるんだ」
じっと見てくる眼差し。
確認、なんだなと思う。
「波織ちゃんなら亡くなったよ。あんまり飛鳥ちゃんつつくのはどうかと思う」
「……そう。まぁ、接点多かったのは鎮だもんね」
眼差しが冷たい。
隠し事はお互いに多いと思う。
「まぁ、いいと思うよ。うん、飛鳥ちゃんについては気をつける」
すいっと視線が外される。
「言いたい事、有るんなら、言えよ」
「別に。鎮が俺に伝えないのは何時ものことだろう? それでイイならイイんじゃない?」
突き放された感。
でも、先に突き放してるのは俺なんだろうとは思う。
「飛鳥ちゃん、俺のせいで波織ちゃん死んだと思ってるから」
見られている気がするけど、視線が合わせれない。
思い出したようにチラリと舞う雪を見ながら、空を眺める。
風の向こうに何かがよぎった。
それは赤い何か。
「……しず……」
「なぁ!! 見たか!?」
「は?」
「いま、空をサンタが! 見たよな!?」
「…………」
「すっげー」
「もういいよ。サンタなんかいるわけないだろ? 寒いし、温いコーヒーでも飲んで温もろうよ」
ため息が聞こえた。
天狗仮面三太バージョン夜空垣間見させていただきました




