12/16 宅配
「じゃあ、賀川君、この辺の荷物よろしくー。こっちは壊れ物。こっちの日付指定はコレ」
「はい。確かに」
父さんと宅配の人の会話。
あれ?
雪姫ねぇちゃんの彼氏のにーちゃんじゃね?
手にはちょうどラッピングの終わったプレゼント。緩衝材で包んで少し大きめの箱。中に入れたメリークリスマスのメッセージカードは宛先である『雪姫』だけ。
旧水族館のツリー下に置いて、たとえ二十七日までに探しに来なかったとしても贈り先の判るプレゼントは宅配される。
プレゼント交換の分はそれぞれチケットがあるし、チェックするので、誰が引き換えてないか判るからコレも贈ることができる。
でも、できれば二十五日に受け取って欲しい。
サンタが活動するのは二十四の深夜のはずだし。
そして目の前にねぇちゃんの彼氏。
よし!
「こんにちはー」
「こんにちは。って学校は?」
「今日は朝熱があったから休みー。今は落ち着いてるんだ」
「でね、お願いがあるんだー」
なんだろうって顔で賀川のにーちゃんが首を傾げる。
「二十五日の午前中にね、雪姫ねぇちゃんにクリスマスのプレゼント、届けて欲しいんだー。森の家の玄関そばに二十四日の遅くに置きに行くとかも考えたんだけど、反対されそうだしさー」
「当たり前だ」
父さんの声が降ってくる。
賀川のにーちゃんも頷いている。
「危ないからダメだよ」
やっぱりー?
「でね、それがコレなの。賀川のにーちゃんは雪姫ねぇちゃんとデートを繰り返す仲だから、頼んだらこっそり置いといてくれるかと思ってさ」
夏祭りも、試合も結婚式も一緒だったはずだもんね!
恋人!
「お仕事中なんだからあんまり困らせるんじゃないよ」
だって、クリスマスのプレゼント。
ムゥっとしてると、
「送料は良いよ。帰る時に持って行ってあげるから」
にこりと賀川のにーちゃんが笑って受け取ってくれる。
「二十五日の午前中だから!」
「預かり伝票あげるね。はい。大切にお預かりします」
「うん。あ、そーだ。二十四日の二十五時以降でもいいよ?」
イブ一緒に過ごすのかな?
「うちの子がワガママを言ってごめんねー」
「いえ」
「じゃあ、配送の方お願いします」
そんな父さんと賀川のにーちゃんの業務会話を聞きつつ大人しく自室へ戻る。
賀川さん
雪姫ねぇちゃん(ちらり)
借りておりますー




