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12/20 つきそい

「えー。アズちん、おまぬけー」

「あぁん?」

「ちゃんと書類(しょーこ)あんのに渡しそびれてたら、おーりょーになっちゃうじゃーん」

「チッ」


「はい。あったかコロッケー♪ 」

「おう。ホレ、一個やるわ。ツーわけで届けとけー」

「はーい。かぼちゃコロッケだー。やったァ。じゃあ、行ってくるねーアズちん」


 親友ダチとの会話を終わらせ、タバコに火をつける。

「問題解決」

 一服して呟いて、日暮れの商店街を眺める。

 任せておけばいいようにひよこを丸め込んでバイト代を渡すだろう。

 それにしても冬は苦手だ。



 まぁ、時に若い子が寒い中、頑張ってラインを強調したスタイルなのを見るといいなとは思うが。

 寒いとどうしても露出が減るので寂しいしつまらん。

 後は面白いいじりネタはやり過ぎたのか他の条件とも合間って警戒キツイしお遊びイベント終わったし、歳末は取り立ては控えて、逃亡チェックするぐらいだから暇だ。

「いいオモチャ、ないかねぇ」


「総督!」


 少女の声に見下ろすとサラサラと夕日を映して赤っぽく見えるプラチナブロンドを揺らし、仁王立ちで指を差してくる少女。

「おう、部隊長Sか。何用だ?」

「お店に受け取りに行くの。ついてらっしゃい」

 高圧的な態度と発言。

 このくらいやっちゃうのは可愛いもんだ。

「暇つぶしにはよかろう」

「お礼は言わないわっ」

 プチショーを披露しながらコロッケを一つ渡す。

「もう冷めかけてるわね」

 そう言いつつ、食べ歩く。

「美味しかったわ。マダム」

 揚げ物屋の前でにっこり笑ってお礼。

「よくここのだとわかったな」

「当たり前じゃない。うちは美食家なのよ!」

 威張りながら最後のひとかけらを放り込んでニコニコしている。

「総督行くわよ!」

 うむ。階級は部隊長の方が下だと突っ込むべきか階級を上げてやるべきか?


 そのまま向かったのは商店街から一本、脇に入った天然石ショップ『無限回廊』

 一度入ると抜け出れない蟻地獄のような店名だ。実にいいセンスだ。

「総督、どうかしたの?」

 きょとりと無防備に見上げてくる眼差しに笑いかける。

「アジトに無限に続くように感じるトラップが存在すればなかなかに良いと思わぬか?」

 入り口に向かいつつ、思案している風だった少女がくるりと振り返る。

「コストしだいだと思うわ! 精神的にはキそうだけど、時間がかかるんならそこでかかるコストや効率的な問題だって出ると思うわ!」

 そう言いながら、店のドアを開ける。

 部隊長Sよ。

 君はファンタジストかリアリストかどっちなのかね?

「おにーさん、できてるー?」

 ………

 出来上がりの予定日は確認しておかないとダメだぞ。部隊長S。


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