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12/7 手紙をかこう3

時系列は鎮君の私室の少し前

「あのね、ベルちゃん、おにーちゃんはね、ゆーびんやさんでサンタさんのお手伝い妖精さんなんだよ」

 のあちゃんとみあちゃんがにこにこおしえてくれる。

 白い髪でちょっと年上っぽいお兄さん。

「ゆきのくにに届けてくれるの」

 サンタさんは寒いとこに住んでるって言うよね。

「それから、サンタさんのところへもだよ!」

 わからなくて首を傾げる。

「えーっとね、ゆきのくにはしずかのくにでもあるんだっけ?」

「せーじゃくのくにだよー。みあおねーちゃん」

 郵便屋さんだというお兄さんがきょとりと二人の会話を聞きながら、周囲を伺っている。

「ゆきのくにはね、女王様が守ってるんだよ。ねー」

「ねー」

 お互い顔を見合わせて『ねー』っとやって笑う。

「おにーちゃんがね、おかあさんにお手紙届けてくれるんだよ」

 すごいでしょうって言わんばかりの態度で嬉しそうなのあちゃん。

 そう言えば、帰国中だったっけ?

「起きてるし、お手紙ね、むこうのおへやにおいてあるの。行こうよ。ね。セリおねーちゃん」

 ふと振り返るとセリちゃんがいた。

「ゆ、雪の国は死者の国だから怖いとこかもねっ! 狼が生きた人間が近づいてきたら食い殺そうと襲ってくるって」

 セリちゃん、怖いなら怖いって言っていいと思うよ?

「そーそー。鎮お兄ちゃんがそう言ってたー」

 小さい子に話す内容に問題あり?

「……ちょっと、怖いね」

 そう言うと、のあちゃんとみあちゃんが心配そうに見てくる。

 本当は怖くないけど。

「ベルベルがこわいんならみあものあもそういう話題はやめてあげなきゃダメなのよ!」

 うん。こわい話題はイヤだよね。

『はぁい』

 二人はお互いに顔を見合わせて良い子のお返事。

 ねぇ、セリちゃん、たぶん「仕方ないな」って思われてるけど、いいのかな?

「死んだ人への手紙なの?」

「ううん。会えない大好きな人への手紙よ」

 首を傾げているとセリちゃんが笑って手を引いてくる。

「ベルベルも書く? 会えない好きな人への手紙」

「会えないのに?」

「会えないから心は添わせますってお手紙するんだよ。芹香もベルベルもまだまだ先は長いんだし、きっとね、大好きな会えない人を思い起こさせる人に巡り合わないなんてことはないのよ!」


 え?


「芹香はその時にちゃんと『クール』って感じてもらえるように努力するの。まぁ、少しぐらい手を抜いても、十二分にクールだけどね!」

 ふふんと胸をそらすセリちゃんにみあちゃんのあちゃんが拍手する。

 そうだね。

「セリちゃんはクールだと思うよ」


 ママなんか覚えてない。

 お誕生日が近づくと話題はママのお墓参りの話になる。

 車道に出ちゃった知らない子を助けてママは死んじゃった。

 そう、おじいちゃんが言っていた。


 情けは人の為ならず。いつか、母親の積んだ善行が鈴音達に還ればいいな。って。



 小学校に入ってから、時々、ママから届くプレゼント。

 添えられた手紙は難しくて読めなくて。

 でも、それはお兄ちゃんたちやおじさんたちは読んでくれない。


 最近、ようやく読めるようになってきた手紙。




「鈴音もママにお手紙しようかなぁ」


 セリちゃんは頷く。

「いいことね! カワイイレターセットがあるから任せて!」

 うん。あのね、難しい漢字が多すぎだよって伝えたいの。

「時々、プレゼントが届くの。お手紙と一緒に。お礼のお手紙書いたら、お兄さんが届けてくれる?」

 みあちゃんのあちゃんが後押ししてくれるように白い髪のお兄さんを見つめている。

 それはもう痛いくらいの信頼の眼差しで。


フィルくんお借りしてます。


みあのあが超懐いてますな

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