総督の日常ーーホビー高原での時間ーー
くつろぎのひととき
最初、その店に入ったのは末息子の様子を覗くためだった。
九月の末で退職し、十月からは完全に暇だったので様子でもと気まぐれだった。
息子はチラッとこっちを見るとすぐに興味を失って母方の従姉妹とカードゲームに没頭する。
息子より年上の少女が戸惑ったように頭を下げる。
やはり女の子は可愛いね。
気が付くと視線を遮るように息子がいる。
いくらなんでも小学生は対象外だ。
だが、面白いので、少女にゲームルールを尋ねる。
嬉しそうにたのしそうに少女は説明してくれる。よっぽど好きらしい。
やった方が早いというので少女の言いなりでカードを購入。
デッキというのを組んでもらう。
カードはなかなかに多彩で可愛かったり、かっこよかったりグロかったり色っぽかったり色々だった。
しばらく遊んだ後、店の奥から店番の交代に出てきたのか老人とカードゲームをした。
やはりカードは花札あたりが落ち着く。
しかし、いい勝負だった。
「最近のゲームはルールが難しい」
「負けた言い訳か」
「いやいや。可愛い女の子相手にやりすぎるわけにはね。『月見で一杯』っと」
それ以来、ヤツと駄弁ったり、最近はやりの玩具を見たり、衝動的にカードを箱買いしてレア探しをしてみたり雑談しつつ花札に興じたりは日常の一部に組み込まれていた。
ヤツと雑談しつつ、クリスマスのプレゼントの発注に余念のないスミッコを見る。
「どーも、ひよこの機嫌を損ねてなぁ」
思い出して呟いた言葉にヤツが苦笑いした。
「何やらかしたんだか」
ナゼやらかしたとわかる?
「ん? デートなら小遣いやろうと言っただけだぞ? そのあとは機嫌を損ねたらしく噛み付く噛み付く。面白くってからかってたらやり過ぎたらしい。おかげでテストモニターで出たバイト代があるんだが、変に疑って受け取ろうとしない始末だ。コレで刺身を食いに行ってもいいんだろうかと、最近誘惑に駆られ中だ」
「それはダメだろう!」
そうか。やっぱりダメか。
高原親子お借りしてます。




