12/7 鎮君の私室
キッチンでドーナツのあまりとホットドリンクをお盆にのせて空ねぇを案内する。
まぁ休憩にはいい時間かも?
確かにいつもよりかっとなりやすくなってる自覚はある。後で涼維と芹香には謝っておかないといけないなと思う。
入ってもらう前にちらりと確認する。
机の上に箱が半端に出されてて眉を顰める。
「空ねぇ、入って」
ベッドにでも座っててーっとうながして、お盆を机に置き、出しっぱになってる箱を確認。
ピアス箱かよ。
芹香あたりの所持品のデザインチェックかな?
ピアス箱を机の隅に寄せて、スピーカーを引っ張りだし、ドアの方へ向けて配置する。
できるだけ音をたてないようにしていると空ねぇが不思議そうに首を傾げていた。
口元に指を立てて『静かに』と合図。
不思議そうにそれでも付き合ってくれる空ねぇ。
ドアの横にそっと立った時に空ねぇがパチリとその目をしばたかせた。
3
2
1
ガチャ!
がつん
勢いよくドアを押し開ける。
ちょっといい音が響いた。
ベッドから慌てて立ち上がる空ねぇを軽く止めて、ため息を吐く。
「渚ちゃん、このバカ、よろしくしていい?」
「涼維ー」
「うわ、思いっきり打ったね。隆維。鎮兄ひどいよ!」
涼維に泣きつく隆維。
この辺はちょっとスルー。
悪いけど、まだ機嫌悪いんだよね。
コクリと「わかった」と了承してくれる渚ちゃんに任せる。
「盗み聞きや、覗きは良くないからな。……大丈夫か?」
任せてしまうとやりすぎたかなと少し心配になる。
渚ちゃんの後ろで郵便屋さんがしょうがねぇと言わんばかりの息を吐いた。
「よけーなことばっかやらかしてっから、なおんねーんじゃねーのか? ちったぁ大人しくしてろ」
ぺちりと痛くなさそうな音を立ててはたく。
「回復度と今回の行動の影響値は皆無だよぅ」
はたかれてぼろぼろ泣きながらも言い訳る隆維。
郵便屋さんが「もういけ」とばかりに手を振る。
かなりしっかりした子だなと思いつつ、対応に甘えてドアを閉め、適当なBGMを選んでかける。
だからドアの向こうで隆維が舌を出してたのを知ることはできなかった。
「隆維君、大丈夫?」
「たぶん。渚ちゃんいるし、打って様子がおかしいようならおじさんも事務所の方にいるはずだしね」
言いつつ、収納からシーツを引っ張り出してベッドの上に適当にかける。
よし。
その上にお盆をおいて、お盆を挟む位置で隣に座る。
うん?
「コップ安定悪いか? ちょっと待ってねー」
数冊、本を枕元に放り出して可動式収納BOXをそばに寄せる。
取りにくくはないしスペースもあるのでドーナツの方もお盆ごとBOXに乗せる。
この間、空ねぇがコップを持っててくれた。
よし!
「休憩準備オッケー」
さて、空ねぇへの言い訳タイムに入るぞ。
空ねぇ・渚ちゃん・フィル君お借りしてます。




