12/7 フォロー?
「りょーい、セリカ。そこらへんでストップー」
鎮兄がちょっと不機嫌になってるので仲介に入る。
空ねぇに悪いしね。
「隆維」
「だってぇ」
「もしかしたら遊びに行こうって誘っておいてデートですってサプライズかもしれないだろ?」
まぁちまちまバイト代たまるかもだし。
芹香はそのセリフに「おぉお」と手を打ち、舌を出す。
「ごめーん。サプライズ予定だった?」
鎮兄もちょっと苦笑。
ココで否定も認めもできない。
ま、小中学生の弟妹に「お金貸すよ」って言われるって流石にきついよなー。
でも多分、無意識に距離をおこうと思ったトコもあるんだろうけどな。
「ま、二人っきりで相談したら? クリスマスデートにしろそれ以外の日に遊びに行くにしたってさ」
これ以上ここでやってっとからかわれるの請け合いだし。
千秋兄と海ねぇの空気、少しおかしいし。
ココは鎮兄が千秋兄に意識取られちゃダメなとこだろ。いろんな意味で。
「……。ごめんね。鎮兄」
そう言って芹香が軽く鎮兄をハグ。
苦笑状態で軽く撫でられているがすぐに身を翻す。
「でもムードない誘い方ってダメだと思うもーん」
そう言って舌を出す。
ぷいっと鈴音達の転がっている方に駆けて行く。
芹香が鈴音の方へ移動したのを確認後。
そっと、千秋兄の方へ近づく。
かろうじて音が拾える場所で少しストップ。
「ねぇ。それはどういう確認?」
「は?」
「だって、海ねぇには関係ないよね?」
「それ、本気で言ってるのか?」
「だって、これ、別に海ねぇには関係ないよね。どうこうしようとか、向き合おうとか、解決してみようって気は僕自身にないんだから、どうにも、ならないよね? だから、気にしてもらっても困るんだけどな」
ち、千秋兄……。海ねぇを怒らせるようなことをあえて言わなくても。まさか自覚ない?
「ねぇ。隆維。千秋兄なに言ってるの? 相手は海ねぇだよ?」
涼維?
「海ねぇ類海ねぇ科特化海ねぇだよ?」
心細げに俺の袖を掴んだ状況で海ねぇから視線を外さない涼維。
「涼維。なにその発想?」
海ねぇ類って哺乳類とか霊長類とかじゃないのかよ。
「だって海ねぇだよ?」
その決まり切ってるといわんばかりの断言はなんだ?
まぁとりあえずさ
「千秋兄を生贄において鎮兄んとこ覗き見にいこーぜ」
軽く腕を引くが少し躊躇う涼維。
心配そうな眼差しで俺を見上げてくる。
「だって、海ねぇだよぉ?」
……だから、それは『ナニ』にかかってるんだ?
「千秋兄、骨残るの?」
「……。涼維」
「うん」
「残っててもな」
ゆっくりと言い含める。
「うん」
「拾いにいけると思うか?」
すっと二人を指差す。
「ううん」
ようやく納得したのか、涼維が笑う。
「千秋兄! 迷わず成仏してね。いこ。隆維」
「じゃーねー。海ねぇ。千秋兄は好きに料理してねー。あと様子が変だったのは二学期はじまってしばらくしてからー」
空ちゃん、海ちゃん、借りてます。
涼維、海ねぇをなんだと思ってるんだろう?




