12/7 ツリー飾り付けをぼんやり眺めている
蛇視点
少女と一緒にツリーの飾り付け。
楽しそうに振舞っているのに何処か心あらず。
『遊び』に誘った相手が微妙な表情をしているのにも気が付いていない。
「距離を置くつもりってコトは結構好意的ってことかな?」
すみでブランケットにくるまれている隆維さんが呟く。
「ふぅん」
不思議そうな小さな少女の返事。
「好きなのに距離をおくのは意識してもらうため?」
少女の疑問に隆維さんは小さく笑う。
「もちろん、忘れてもらうためだよ」
?
「どうして?」
少女が私の心を代弁する。
「流石に理由は知らない。鎮兄はね、大切だったり好きな相手からは距離をとるよ」
嫌われるのが怖いから?
「家族でも?」
「どうなんだろうね。少なくとも俺たちは大切な事は話してもらえないかな」
優しいけれど、動きを感じない声。
「それとも大切なことだって思ってないのかもね」
「鎮兄。二十五日に遊びに行くのはデートだと思うわ!」
芹香さんのツッコミに鎮さんが少し怯む。
「そ、それは、その」
「予算足りないなら貸すよ?」
「デート資金不足? 貸すのに」
その後は涼維さんがぽそっと提案し、芹香さんもそれに続く。
「いらねぇよ」
明らかに不機嫌そうな鎮さん。
そんな鎮さんたちから距離をとった隅っこで隆維さんがうたた寝してるふりして小さく囁いている。
「今年の秋はバイト量少ないからなー。資金不足かー」
「そぅなの?」
「練習に駆り出されてたからさ。バイトには行けないだろ? 旧水族館のバイトも外に出てるからできないしね」
「でも、それとデートとなにか関係あるの? 工夫でデートって楽しそうだよ?」
「……ちょっとしたスタイル。かなぁ。鎮兄の場合は」
…………
メンツとかプライド関連のものでしょうか?
やっぱり、男の子ですね。
「クリスマスは特別だもんね」
「そーだな。女の子にとっては特別な日だよなー」
「女の子?」
「そ。ネットでサンタクロースを調べたらすぐわかるよ」
「後で調べてみる」
ふと視線を巡らせると千秋さんとショートカットの女性が談笑しているのが見えて硬直しかけました。
ぬ、主様をお呼びしなくてはっ。
空ちゃん海ちゃんちらり借り




