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12/7 朝ごはん。

 朝の何時もと毛色の違うお客さんに盛り上がる妹たち。

 鎮兄に怒られて(当たり前だと思う)ぐずぐずやってる隆維をなだめる。

 あんまり泣くと熱出すからちょっと心配。

 雪の国って鎮兄。最近のハマりものは北欧神話だっけ?

 古事記とかの八百万の神にギリシャ神話。マヤインカの伝承。それからケルト神話。

 神話と名のつくものに飛びつくお年頃らしい。

 そして、その知識を織り交ぜて寝物語にチビ達に聞かせる怪談。芹香以外は喜んでるからいいんだけど。

 千秋兄がチビ達の将来を心配するのもわからなくもない。スプラッタホラーをにこにこ聞く小学校低学年。うん。ちょっと将来(さき)が心配。

「着替えてくる」

 隆維がそう言ってそっと離れる。

「うん。いってらっしゃい」

 送り出して、お客さんを見る。白い髪の意志の強そうな少年。少し年下かなとも思うけど上なような気もするし、首を傾げる。

 まぁいいか。

 そんなことより、妹達の人気を勝ち取ってる妖精さんってことはヘタな扱いをすると妹たちからブーイングの嵐決定かぁ。

「おはよー。朝から甘いの平気ー?」

 苦手ならフードコーナーで選んでもらわないとねー。

「平気だ」

 そっかー。

「俺は涼維。そこの一番生意気なのが芹香。今魔法ステッキでたぶん、クッキーモンスター退治中なのがみあ。交換を待ち構えてる黒髪がうちの末っ子でのあ。耳に安全ピンつけてんのが鎮で無い方が千秋。泣いてたのは隆維ねー。誰かちゃんと紹介してた?」

 妖精さんに尋ねてみる。

「のあと、お前ぐらいだな。自己紹介してきたのは」

 ちょっと呆れた口調。

 うわーっ。

「うち結構そういうの気にしないんだー」

 マイペースだからなぁ。

「だって妖精さんは妖精さんだしねー」

 待って。芹香。理由になってない。

「鎮兄」

 キッチンから出てきた隆維が鎮兄に声を掛ける。着替えてるのはいいとして何故キッチンから?

「ん?」

「油、あっためはじめたからねー」

「火ぃ点けたら離れんじゃねぇよ!」

 慌ててキッチンに戻る鎮兄。

「クランベリージュースのピッチャーとってきた」

 そう言って妖精さんにジュースを差し出す。

「妖精さんだったんだ」

「郵便屋だっつーの」

「じゃあお手紙届くね! おにーちゃんありがとう♪」

 のあがなにか隆維に言い返そうとしていた妖精さんにじゃれつく。

 隆維は少しその様子を見つめてから妖精さんに視線を送る。

「俺様に任せとけば大丈夫だぜ。きっちり届けるぜ」

 得意げな姿に末っ子二人がきゃあきゃあはしゃぐ。

『かっこいー』

 うん。そういう決め台詞をきっちり言えるのってかっこいいよね。


「隆維兄」

「ぁん?」

 横で芹香が隆維にこそりと話しかけてた。

「無限回廊では芹香がクリスマスプレゼント買ったから、被りはダメだよ」

 あ。芹香ズルい。

 センスの良さそうな店で芹香がカード使ってもイイって思える店だって聞いたから覗きに行くつもりだったのに。


「大丈夫。ほしいものはおじさんやじーちゃん達に頼んだから、俺達はさ、金額知らないんだ」

 にこりと芹香に伝える隆維。

「えー。何それズルイ」

 どこか、暗に嘘つきと言われてる空気がある。

 まぁ実際かかってる最低金額は知ってるしね。

「郵便やさん、もてもてだね」

「ほんとになー。汐ちゃんたちとも仲いいんだぜー」


「ドーナツ、第一弾できたぜー。クッキー砕けたか?」


フィル君借りてます。

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