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12/6 手紙を書こう2

 唐突に下の半分である隆維おにいちゃんが提案した企画。

 それは『手紙を書こう』企画。

 二種類の手紙。

 ひとつは『毎年ありがとうサンタさん』サンタさんに感謝を伝える手紙。

 ひとつは『会えない大好きな人に贈る』手紙。

「のあは誰に書くの?」

「のあは産んでくれたおかあさん。おかあさんががんばってくれたからのあは大好きなおねえちゃんやおにいちゃんと一緒だもん。だからおっきくなったら、ママみたいなお医者様になっておかあさんの村にかえるんだよ。って書くの!」

 笑顔でのあが答える。手にはしっかり色鉛筆。

 意外にも明確な将来への目標つきだ。

「みあは?」

相手が思い浮かばないのか、首を傾げつつ4Bの鉛筆をくるりと回転させる。

「うーん。のあちゃんのおかあさん? だってママやおじさん達は会えるもん。セリおねぇちゃんは?」

「セシリアママとパパ、かな? おにいちゃんは?」

二人とも死んじゃってるから、もう会えないし。

「セシリアママには書くよ。義父さんには手紙なんか書いたら添削されそうだから書かないなー」

 やわらかく微笑んで告げられた千秋兄の答えに鎮兄も笑って頷く。

「あとはそう、母さん達の両親かな。会えないけど、いなければ俺たちはいないから」

 小声で「好きかどうかは別だけど」と聞こえた。



 セシリアママは私が産まれる半年前に死んじゃった。

 お母さんが動揺して一時はちゃんと生まれてこれるかも心配だったってパパに教えてもらった。


 芹香・ティセリア・ブロンウィン・日生・セルブ。

 ちゃんとした名前は長い。

 でも日本では『日生芹香』すっきり短くていい感じ。

 名前を付けて準備してくれていたセシリアママ。

 上のお兄ちゃんが教えてくれたママの考え方は素敵だった。

 神様はいつだって見守ってくれている。

 自分に恥ずかしいと思えるような行動はしていけない。

 努力と行動こそが望みを叶えてくれる。

 裏切る者は自分だけ。

 相手を信じることが出来ず、裏切られたと感じた瞬間、それは自分が相手を裏切っているのだから。信じていた自分で裏切っている。


 はっきり言ってよくわからない説明も多い。


 信じることは難しい。

 信じてないのに裏切られたなんておかしい。


 そう兄さんに言われて、首を傾げた。

 嘘をつかれるのは裏切りじゃないの?



 必要だと思って守るための嘘もあるんだよ?

 大切で守りたいから嘘をつく。

 それは裏切りかと言われると難しいと思った。

 それと同じように「知らない」ことが守ることになるんなら「知らせない」こともあると教えてくれた。

 だから、鎮兄は自分で抱え込む。

 大切にしてもらってるよ。

 でも、大切に思ってるのをわかってくれないの。

 みあものあもそれをわかってる。



 セシリアママなら理解力のない鎮兄を叱ってくれるかな?

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