12/6 放課後
「芹香。鈴音ちゃんは一緒じゃないのか?」
「一緒なわけないでしょ。べるべるのクリスマスプレゼントも選ぶんだから!」
ばっかじゃないの?と言わんばかりの口調で振り返る芹香。
サラリとプラチナブロンドが揺れる。サイドを上げて後ろで赤と黒のストライプのリボンでまとめてある。
膝上丈のスカートはダークレッド、黒のスパッツは側面にキラキラと星のラインストーン。ちっさなブーツはボルドー。それと白いふわふわコート。
「へぇへぇ。気づかなくって悪かったよ」
「鎮兄は空ねぇへのプレゼントちゃーんと考えてるのー?」
「んー。一応?」
「センス悪いの贈ったらダメだよー」
「どうだろうなー」
「えーっと、『望月』さんとー石屋さんに行くの!」
石屋さん呼びに小さく笑うとパチンと背中を叩かれる。
笑っているとパチンパチンと叩いてくる。
かわいい。
「ナニ笑うのよぅ!」
「気にしない。気にしない。たいした事じゃないって」
そう言えば隆維に『スライス瑪瑙買ってきて』って言われてたよなぁ。あと一番小さい原石の勾玉とかクロスとかだっけ?
テキトーにって言われてもわかんねー。
「予算は?」
聞くと芹香は得意気に胸をそらす。
「他に滅多に使わないもん。予算は潤沢だわ!」
「ほほぅ」
「お兄ちゃんと違って買い食いしないしー。お洋服は全部おじさんの手作りか、上のお兄ちゃまからのプレゼントだしー。恋愛相談と引き換えにお小遣い入金してくれるおにーちゃんもいるしねー。振られちゃったみたいだけど。だから、クリスマスは甘やかしてあげないとね!」
義兄さんたち芹香を甘やかしすぎじゃあ? ちょっと耳に痛いところもあるけど。
「言っとくけど、ちゃんと普段のお小遣いは月千円でやりくりしてるからね! クリスマスは特別なのー」
ビシリと指を突きつけてくる。
「日生のおうちはみんなのとこみたいにお誕生日ってお祝いしないもん。お祝いするお誕生日ってクリスマスだけだもん。だから、特別だもん」
ぷぅと膨れる。
スッと流し見られる。
ん?
「空ねぇへのプレゼント。予算心もとなかったら芹香が貸してあげるわよ!」
「いらねぇよ」
総督の影響かなー?
だから膨れてんじゃねぇよ。
「ロリが生意気ー」
「ロリじゃねぇっつってんだろーが」
ちょっとうるさいので小脇に抱えてみる。
「きゃー♪」
まわりの視線は微笑ましいものを見るもの。
芹香の指さし案内で石屋さんにむかう。
店にはいると、芹香がぽつっと呟いた。
「空ねぇ、……いるかな?」
はぃ?
「あ♪ アレかわいー。クリスマスだしお星様型かなー?」
じたばたと暴れだしたので解放する。




