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二代目の蛇。

 ちりちりと呼び鈴が鳴る。

「いってらっしゃい」

「いってらっしゃい」

 おねぇさまたちが押し出してくださる。


 優しい手が抱きとめてくださる。


「よろしくね。シア」


 あたらしい家は寒い場所。


「冬だもの」

 ミラがそう笑う。

 眩しい場所。

 主様に連なる血脈の子供たち。

 それはとてもいとおしい。


「一緒に、寝る?」


 年長の少年がそう言って笑う。

 私は恥ずかしくて主様の後ろに隠れる。

 ちらりと様子を見ると傷ついた色を笑顔に隠したのに気がついてしまった。

 にぎやかで明るい家族。

 主様の血を色濃く感じる少し小さな双子。

 ちらちらと主様を眼で追うのに近づいてくることはない。

 主様も様子を見守るだけで自分からは寄りはしない。

 ……でも。

『主様』

「うん?」

『黙っておられては、歩み寄ってくれないと拗ねておられたとしても伝わりませぬよ?』

 枯葉色の目が見開かれ、ゆっくりと細められる。


 ぱちん


 額に小さな衝撃。

『主様……』

「うん?」

『いとぉございます』

「それはすまなかった」

 主様が臍を曲げてしまわれました。



 私にご飯を用意してくださるのは隆維さん。

 他の子供たちよりも家にいる日の多い少年。

 私も観察をいたします。

 隆維さんも私を観察。


 よく窓を開け、隆維さんは海を眺めて過して、女性に『明日も熱が出れば学校行けなくなるから暖かくなさい』と叱られる。

 時々隆維さんの部屋は冷え切るがとても過しやすい場所であることが多い。


『隆維さん、窓は早く閉めなきゃだめですよ?』


 そう囁いても、人の耳には私の声は届かない。


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