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12/4 窓から見えた風景。

 小さな子供と大きな鳥の組み合わせは不思議。

 昼過ぎまで高かった熱は今は少し引いている。

 外の風が涼しいと感じるのはまだ熱が残っているんだと思う。

 だからぼーっと見ていた。

 きらきら明るい色の髪の小さな子供は鳩みたいなトリを呼び寄せて何かしている。

 何処かで見たことがある。というか最近、ちらちら見かけている気がする。

 主に汐ちゃんたちのそばで。

 ずるりと後ろで這いずる音が聞こえる。

「しあ」

 サマンサがいなくなって、しばらくすると、サマンサとほぼ変わらない特徴のシアが現れた。

 あんまりサマンサと関わらないようにしていた千秋兄なんかは区別がついていない。

 みあとのあは変わってしまった個体に首を傾げていたが変わらず構ってくれる蛇に気を許していた。

 鎮兄は「一緒に寝るか?」と誘ったら避けられてショックを受けていた。

 そのぐらい、サマンサは家族の一員だった。(鎮兄の行動には問題があると思うけど)

 ミラちゃんは満足そうに笑っていた。

 シアは『なにを見てるの?』と問いかけるように近づいてきて窓をよじ登る。

 シアは同じに見えてサマンサより気性が優しい。父さんに懐いているのは一緒だけど、サマンサみたいに独占欲を表に出さない。

 蛇なのにそんなことがわかるのが不思議だ。

「お腹空いてるんならハムスター食う?」

 シアはピタッと動きを止め、ゆっくり視線を俺に合わせる。

 サマンサがいた時から生き餌のハムスターは飼育している。

 人が飼っている鳥を食べられても困るので、移動のため手を伸ばすとゆっくりと巻きついてくる。

 チラリと外を見れば、そこには誰もいなかった。



 シアにハムスターを与えると、絞めて抱え込み動かなくなった。

 サマンサと違い、シアは食べるところを見られるのを嫌う。

「ゆっくり食べなよ」

 そう言って部屋に戻る。

 窓が開けっ放しだった部屋は冷え切っていた。

 窓からはビーチが見える。部屋からは海が見える。

『誰か』から責められるわけじゃない。

『誰も』責めたりしない。

『何も』なかったから。

 だから『許してはもらえない』

 どうしてサマンサがいなくなったかはわからない。

 でも、失われた約束だけど、

「守りたいんだよ。てーて、てーてとの約束。りゅーいはちゃんと守りたいんだよ」

 てーてが助けてくれたときに俺達にかけた対価。

 忘れていた対価の真実。

 痛くて守ることが今はとても難しい。

 

フィル君を窓から観察?

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