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セイレーンとのXmasデートはクエストか?
飲食店の予約状況に思いを馳せる。
「ちょっと考えたんだけどさ」
朝飯にありつきながらぽつっと発言。
視線が何気に集まってビビる。
「もう、クリスマスの予約って大概埋まってね?」
沈黙のまま、視線が痛い。
デートならそれなりに雰囲気を重視したい気もするし。
まぁ、クリスマスにこだわることもないかなと思うし。
「行ってみたい店があるなら予約ぐらいしてやるぞ」
総督が俺の朝飯から卵焼きをつまみ食いながら言う。
まだ食うのかよ!
コレステロール値は大丈夫か?!
マヨをつけようとするんじゃねぇ!
って、それ以前に
「いらねぇ。敷居が高過ぎそうで楽しめそうにねぇもん」
空ねぇに楽しんでもらうのは前提だけど、自分が場違いさに緊張して楽しめないっていうのはそれはそれで問題外だと思う。
「お店は客があってこそだから、気にしなくてもいいと思うんだけど? ドレスコードぐらいか?」
何を悩んでるんだって空気でおじさんが言う。総督も頷いてる。
千秋と有坂は微妙な表情だ。
「なんならうろな沖客船でディナーナイトのチケットくらい回すよ? そこでちょっとバイト入ってるし」
「おじさんがバイトって料理?」
尋ねてみる。
「いや、子守り。料理人は義兄さんだけどね。同じ店で修行した仲だし腕はいいよ」
「ドレスコード、ありそうだね」
千秋が呟く。ルシエおばさんの実家って医者や専門技師を排出し、それなりに名門として地元じゃ有名系らしい。隆維と涼維はその影響かそういう場所にも気後れはしない。
「まぁ、一応豪華客船の枠に入るしね」
………
おじさんの紹介も基本却下だな。
高校生が豪華客船ディナーなんか行って自然に寛いだエスコートができるとでも思うのかっ!?
俺には無理だ!
「んなとこ気にするんだ」
有坂が意外そうに呟く。
「場違いな感じしそうじゃね?」
じっと視線が合う。すすっと逸らされる。
「……ま、解釈は、うん、それぞれだよな」
やたら歯切れが悪い。
なんなんだよ。まったく!
「だからさ、クリスマスじゃなくてもいいかなって、まだそういうの約束してるわけじゃねぇし」
「クリスマスってさ、芹香は兄さん達と泊まりで遊園地へ遊びに行ってるだろ?」
不意に千秋が確認しはじめる。
「ああ」
「隆維と涼維はラフおじさんと過ごすのに暇そうな天音ちゃんと鈴音ちゃん誘ってブルースカイでしょ?」
そんなこと言ってた。ラフおじさんってことはもしかしたらそういっちゃんのお父さんもいるのかな?
「うん」
「ミラちゃんミアちゃんノアちゃんは、おじさんのバイトにひっついて行くでしょ?」
「うん。終業式終わって直行だろ? 果穂先生に却下されてたもんなー」
月曜からだと火曜日と水曜日の終業式お休みだもんなー。
「俺は飛鳥ちゃんと一緒の予定だし、母さんとおばさんは水族館閉めたらどっか飲みに行くって言ってたし、そこに予定のない鎮が入れば面倒なんだけど?」
すげェ。
家族のクリスマス予約は埋まりきってる。
「二十五日?」
「二十五日」
確かそういっちゃんも当日はお兄さんと過ごすって言ってたはず。
えー。
クリスマス一人?
「だからさ、デートは二十五日に入れといてくれると俺としても気兼ねなく過ごせるかな」
千秋がそう締める。
納得できなくもない。
有坂が何かを言おうとして千秋に止められたのが見えた。
じっと見てると千秋が「なんでもない」って手を振る。
仲、いいよなー。
空ちゃんお名前借りてます。
Xmasデート、外堀を埋めつつ、このまま進ませていいのか微妙悩みつつもブレーキオイルは抜いとこうスタイルの千秋。
デートするんなら支援は惜しまなげな大人組は無意識にハードルを上げる。
そして本人はXmasにはこだわってない感じ。




